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【医療】対がん新時代/愛知県がんセンターが専門施設

2017/01/17

診療の垣根越えサルコーマ治療
症例希少 早期診断目指す

 愛知県がんセンター(名古屋市千種区)は昨年10月、全身の骨や筋肉、脂肪、神経などに生じる希少がんの「サルコーマ(肉腫)」を専門に治療する「サルコーマセンター」を中部地方で初めて開設した。サルコーマは症例が少ないため診断や治療が難しく、適切に治療できる医療施設が少ない。センターでは、診療部の垣根を越えて専門知識や経験のある医師が協力し、治療に当たるほか、全国の他の専門施設と連携し、症例研究も進める。(室木泰彦)

 「もっと早く受診していれば。でも、治療のおかげで元気に生活しています」。愛知県の男性(75)は、胸部の軟骨にできたサルコーマの治療で昨年11月にセンターを受診。手術を受け翌月、退院した。今年1月に医師が連絡すると、再発もなく経過は良好だった。

 男性は、もともと別の病院で転移がんと誤った診断をされた。がん細胞が多く切除しきれないとの説明を受け、放射線治療を受けたが、腫瘍は術後も増え続け、病院からセンターを紹介され治療を受けていた。

 静岡県の男性(72)は2005年、別の病院で腹腔(ふくくう)内の筋肉にできたサルコーマを切除。しかしその後も肝臓転移を繰り返し、その度に手術を受けたが、肺にも転移した。病院は治療を断念し、経過観察を続けながら緩和医療に切り替えるよう勧めたが、男性はセンターを知って受診し、抗がん剤治療を受けている。

 センターでは、診療部をまたいでさまざまながんに関する専門知識のある医師らが連携。診断や治療法を決定している。

 静岡の男性を診断したセンター長の筑紫聡整形外科部長(47)は「もう少し早ければ転移はもっと少なく、治療法の選択肢も多かった。抗がん剤は経験が少ないと、副作用などの心配があり簡単に手を出せない。サルコーマの疑いがあったら、早期に専門施設を受診してほしい」と話す。

 サルコーマは、頭頸部(とうけいぶ)から脚までのどこにでもでき、細かく分類すると50種以上もある。さらに、発症する人は少ない。愛知県がんセンター中央病院によると、全国で11年に胃がんを発症した人は人口10万人当たり103人、肺がんは87人だったのに対し、筋肉や神経、血管、脂肪などにサルコーマができた人は2~5人、骨にできた人は0・6人だった。

 発症例が少なく医師も経験を積みにくいため、他のがんと見分けるのは難しい。診療には、病理医や薬物療法医、整形外科医、放射線科医らが知識と技術を持ち寄るチーム医療が欠かせない。愛知県がんセンターは以前から、薬物療法や遺伝子解析の専門医らがそろう数少ない施設としてサルコーマを治療しており、昨年は筋肉や脂肪、神経などに発生したものだけで36人を診療した。

 サルコーマセンターは、がんセンター中央病院の中に設けられ、14診療部医師ら計24人が、それぞれ所属する診療部と兼務する形で組織。大量の遺伝子解析を高速でできる先端設備なども使い、先進的な医療技術を治療に活用。2週間に1回、症例検討会を開いて幅広い角度から検討している。

 サルコーマに専門的に対応する施設は愛知のほかには、国立がんセンターなど東京都に2施設、北海道と大阪府、岡山県に各一施設。全国でも六施設のみ。

 筑紫センター長は「中部の人口を考えるとセンターの開設は使命だった。早期にここを受診できるように、中部の各医療施設に周知徹底したい」と話す。

 今後は積極的に臨床研究に参加するなど多くの症例を研究し、より適切な治療につなげるため各専門施設と情報共有を図る。遠方の患者の通院負担を減らすことも考え、薬物療法部の安藤正志・治験支援室長(51)は「センターで治療方法を決めた後、患者の自宅に近い施設が対応可能なら、そこで治療できる体制を目指していきたい」と語る。

「サルコーマはチーム医療での対応が不可欠」と話す筑紫聡センター長=名古屋市千種区の愛知県がんセンターで
「サルコーマはチーム医療での対応が不可欠」と話す筑紫聡センター長=名古屋市千種区の愛知県がんセンターで

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