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【学生】心に寄り添う看護師に

2016/12/20

飯田女子短大看護学科仏教の教えも学ぶ

 長野県飯田市の飯田女子短大看護学科の学生たちが、仏教の教えを取り入れた看護を学んでいる。終末期や高齢者医療の現場に立ち会った際に、どうすれば患者の心を支えられるのかと悩む看護師らもいる。学生たちは「患者さんの苦悩に寄り添える看護師になりたい」と志している。 (美細津仁志)

 ◇ ◇ ◇

 「腕はきつくないですか」。医療用のベッドが並ぶ看護学科の実習室で、2年の古田さん(20)が友人の血圧と脈拍を測る。「現場に出てから『できない』ではすまされない」と、学生たちは交代で患者役になり、授業の合間の空き時間に練習している。

 9月、市内の病院で10日間の看護実習に臨んだ。体験したのは、高齢者のケアだ。誤嚥(ごえん)性肺炎の恐れのある90代の男性を受け持ち、気道に飲食物が入らないようにするために体操メニューを一緒にしてみた。

 最初は約15分かけて12項目の運動メニューの手本を見せたが、のってくれなかった。男性が比較的やりやすい4項目に絞って教えた。肩の上げ下げや「パ」など破裂音の発声練習をした。「寝ているだけよりずっと気持ちがよいです」と笑顔で感謝された。

 実習を終えた古田さんは、1年の授業で聞いたある言葉を思い出した。浄土真宗を開いた親鸞の言葉をまとめた「歎異抄(たんにしょう)」の一節だ。施しをする側のおごりを戒め、相手とともに心が救われる必要があると説く内容だった。「患者さんの大切な時間に関わらせていただいている。相手の気持ちや体の状態を最優先する看護師にならなければいけない」と話す。

 仏教の教えに基づく日本初の看護学科として、地元の浄土真宗系の私立学校法人が1996年に開設した。患者の心のケアに当たるために東北大などで宗派を超えた「臨床宗教師」を育成する動きがある中、仏教を基に心のケアができる看護師を育ててきた。

 授業の中で、終末期の患者らが穏やかに過ごせるようにケアする仏教のホスピス活動「ビハーラ」も大切な学びの一つだ。

 古田さんの双子の姉の千穂さん(20)も同じ夢を追い、看護学科で一緒に学ぶ。今年8月に受けた集中講義「ビハーラ・ケア論」に心を動かされた。

 「仏教の救いとは、死なない体をつくることではない。現実を前に、自分の価値観を変えることだ」。ビハーラ研究の第1人者で同朋大大学院(名古屋市)教授の田代俊孝(しゅんこう)さん(64)の講義が心に残った。

 老いや病気、死は避けられず、思い通りにならないことも学んだ。患者が満足して最期の時を過ごし、1人1人に合った死が迎えられるよう手助けすることが大切だと考えた。千穂さんは「命は生きた時間の長短で比べるのではなく、深さが大事と知った」と語る。

 第1期卒業生で、母校で講師を務める神沢絢子さん(39)は「自分ならどんな最期を迎えたいとイメージすることで、その患者さんに合ったより良い看護ができるのでは」と語る。

 3年の伊藤さん(21)は訪問看護師となり、高齢化でニーズが増す地域の在宅看護を支えるつもりだ。「不安な気持ちで家で終末期を過ごす患者さんと家族を支えたい」と話している。

患者役の友人の血圧を測る古田莉穂さん(手前右)と、包帯を巻く姉の千穂さん(奧右)=長野県飯田市の飯田女子短大で
患者役の友人の血圧を測る古田莉穂さん(手前右)と、包帯を巻く姉の千穂さん(奧右)=長野県飯田市の飯田女子短大で

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