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【暮らし】<ストップがん離職> 専門家が就労アシスト

2016/06/20

◆コンサルタント、社労士など活用

 がん患者の治療と仕事の両立を目指して、キャリアコンサルタントや社会保険労務士らが病院との連携に乗り出している。働き続ける場合の障害を乗り越えるために、就労問題の専門家の立場から助言。復職や新規就労につなげている。

 「自分には何の仕事ができ、何ができないのか。がんになった自分の『取扱説明書』を言葉で言い表せるようにしてください」

 6月中旬、名古屋市昭和区の名古屋大病院で開かれた「がんとともに働く人のための講座」。患者支援団体「仕事と治療の両立支援ネット~ブリッジ」代表の服部文(ふみ)さん(45)が、患者や家族ら約50人に働く上での心構えを語った。

 服部さんは、キャリアコンサルタントの国家資格を持つ。カウンセリングなどを通して働き手の興味や経験、能力などを引き出し、その人に合った職業選択やキャリア形成ができるように支援する。

 服部さんによると、がん離職で最も多いのは、復職後に職場との関係が悪化し、退職するケース。「治療がつらいのに、周りが分かってくれない」と受け身になったり、病状を隠したまま無理を続けたりする人もいる。「自分の職業生活を切り開けるのは自分だけ。その一歩を進むための支援をしたい」

 講座は、服部さんが同院の協力を得て初めて開催した。一般的に、病院には就労問題の専門家がおらず、仕事の悩みに対する解決方法を示すのが難しいことが背景にある。今後、個人面談や面接のトレーニングなども行う。

 昨年舌がんが見つかり、勤務先の福祉施設を休職中という20代の女性は「治療の後遺症もある。復職と転職とどちらが自分に適しているか、しっかり分析し、考えたい」と話す。

 聖路加国際病院(東京都中央区)は2012年から、就労に悩む患者が互いの課題を語り合いながら問題解決を目指す「就労リング」を隔月で開催。社会保険労務士や産業カウンセラーらも加わり、随時助言や情報提供している。

 昨年末までに128人が参加。参加者の就労に関する知識が増え、不安が減る傾向がみられた。ただ、産業カウンセラーの資格を持つ看護師の橋本久美子さんによると、相談窓口で就労に関する内容はまだ少ない。「病院で仕事のことを聞いていいということが知られていない。もっと広く伝えていきたい」と話す。

◆強みや不安を自分で整理

 服部さんは昨年、大腸がんを患い会社を休職中だった40代の男性から転職の相談を受けた。

 男性は営業マン。会社の評価は高く、「しっかり治療して戻ってきて」と復職を待望され、主治医からも「復職可能」といわれている。ただ、手術や抗がん剤の影響で体力が落ち、毎日外回りをして以前のような成績を残せる自信はない。「期待に応えられないくらいなら、転職したい…」

 服部さんは、男性に仕事で培ってきたことと、不安なことを目の前で書き出してもらった。「多くの顧客との信頼関係がある」「自社商品の知識が豊富」「体力に自信がない」「再発が不安」…。

 服部さんが「営業マンで磨いた能力は他の部署でも生かせる。転職してゼロから始めるより、体力面で折り合える部署を探しては」と助言すると、男性は納得し、自ら会社と折衝。今は、同じ会社の内勤の販売促進部に異動し、意欲を持って仕事を続けている。

(山本真嗣)

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