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【愛知】ヘリ救急医療 動画撮り共有

2016/05/29

愛知医大など学習ソフト

 「空飛ぶ救急治療室」と呼ばれるドクターヘリの搭乗員向けの学習ソフトを、愛知医科大病院(愛知県長久手市)とIT企業のコア中部カンパニー(名古屋市)が共同開発した。医師や看護師らが救命処置に当たる様子をスマートフォンで動画撮影し、若手スタッフが判断力を養う教材として使う。将来的にはドクターヘリがある全国の基地病院で動画を共有し、学習に役立てたい考えだ。 

 ドクターヘリは、現場に急行し、迅速な初期治療で重篤な患者の救命率を高めることができる。愛知医大では昨年、317回出動したが、着陸場所や患者の容体など活動は毎回異なり、状況に応じた高度な判断力が求められる。教育中の医師や看護師は人形を使って訓練するが、現場の臨場感に欠ける。ヘリの搭乗研修をしても待機中に出動要請が入るとは限らず、育成面の課題が多かった。

 そこで医療現場の課題を企業の技術力で解決する「医工連携」の一環で、名古屋商工会議所が昨年1月、愛知医大に企業関係者を招いて発表会を開催。高度救命救急センター救急集中治療室の坂田久美子看護師長が「ヘリでの活動を疑似体験できる教材が作れないか」と提案すると、コア中部カンパニーが名乗りを上げた。昨年末に開発に着手し、1千万円をかけて3月にシステムが完成した。

 ヘリに搭乗する医師や看護師は、フライトスーツの胸ポケットにスマホを装着。撮影開始などカメラは院内の管制室から遠隔操作し、救命処置を妨げないようにした。医師や看護師の目線に近い形で撮影された動画は、リアルタイムで院内のサーバーに転送され、蓄積される仕組み。コア中部カンパニーの海野浩之ビジネスソリューション部長は「万が一スマホを紛失しても、動画がスマホ内に残らないようプライバシーに配慮した」と話す。

 フライトドクターの寺島嗣明助教は「動画を通じ、一人の経験を多くのスタッフが共有することで医療の質が高まり、最終的に助かる患者さんが増える」と語る。4月から動画の撮影を始めたところ、ヘリでの活動が院内でも同時進行で分かるようになり、「指示を出したり、院内の受け入れ態勢を整えたりと副次的な効果も大きい」という。

 撮影した動画は現在、プライバシーを保護する処理をした上、学習教材に編集している。今回の試みを10月に埼玉県で開かれる日本航空医療学会で発表し、ドクターヘリがある全国約50の基地病院に展開するきっかけにしたい考えだ。(経済部・白石亘)

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