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【健康】子どもが怖がらない採血工夫 事前に方法説明し安心感

2016/03/15

 注射が嫌い−。大人になっても苦手なのは、子どものころの怖い思い出が影響しているのかも。ところが最近、子どもに恐怖を感じさせない採血の仕方が工夫されている。その方法とは−。(稲熊美樹)

 愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センター。「どっちのゲームで遊ぶ?」。入院中の女児(8つ)の採血が始まる直前、スタッフの平野祐子さん(42)が女児に話しかけた。

 「こっちがいい」。女児が棒を束ねたバランスゲームを指さすと、平野さんと一緒に遊び始めた。明るい表情になったら、医師と看護師が「じゃあ始めるね」と、採血針を女児の左手の甲に刺した。採血にかかるのは数分。平野さんは、採血の進み具合を見ながら、途中でカードゲームに切り替えた。女児の母親も加わって遊んでいるうちに、採血は終了。遊びに夢中だった女児は「楽しかった」と笑顔を見せた。

 平野さんは、病気の子どもと遊ぶ専門職のホスピタル・プレイ・スペシャリスト(HPS)。保育士の資格も持つ。「子どもを遊びに集中させて、嫌な思いをさせないように工夫している」と話す。

 採血前には、HPSが病室を訪ね、子どもに必要性を説明。3歳前後だと、針を合成繊維の糸に替えた注射器や人形、消毒用の綿を使って手順を具体的に示し、消毒綿の冷たさやにおいを体感してもらうという。センターでこの業務をするのは7人。責任者の棚瀬佳見さん(54)は「採血時には遊んで、できるだけ注射がトラウマ(心的外傷)にならないようにしている」と話す。

「我慢当たり前」を変えて

 注射を嫌がって泣き叫んだり、暴れたりする子どもは少なくない。

 病院やクリニックでは一般的に、保護者を別室に出した上で、子どもをバスタオルなどでぐるぐる巻きにして自由に動けなくして、看護師が体や腕を押さえつけて採血する。針でけがをする危険性を除去するためだが、このやり方では子どもには恐怖だけが植え付けられかねない。

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の調査によると、子どもが保護者と遊んで部屋の雰囲気に慣れたころに手順を説明し、保護者に子どもを抱っこしてもらって採血したところ、2〜4歳の132人のうち6割ほどは泣かなかった。

 センターのスタッフは「痛くて泣くのは当たり前。何をされるか分からないという、えたいの知れない恐怖で泣くのを減らすのが目的」と話す。

 調査では、針を刺す瞬間の痛みを和らげるため、保護者の同意があれば、塗る麻酔薬も使用した。海外では広く使われており、日本でも保険が適用される。

 センターの山本貴和子医師は「日本では痛みを我慢するのが当たり前とされているが、子どもや家族の気持ちを考え、痛みへの考え方を変えてもいいのでは」と指摘する。

 ただ、通常の注射や予防接種は、限られた医療スタッフが短時間で済まさなければならないため、採血前の説明や遊びの導入は進んでいない。

医師と看護師が採血している間、HPSや母親とカードゲームで遊ぶ女児=愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センターで
医師と看護師が採血している間、HPSや母親とカードゲームで遊ぶ女児=愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センターで

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