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【暮らし】ネガティブからポジティブに がん闘病者が写真コン挑戦

2015/07/22

 がん治療法が進展し、がんの種類や進行度合いによっては、闘病しながら通常の社会生活を送れるようになった。趣味の世界でキラリと光る作品を生み出す人も増えており、製薬会社「日本イーライリリー」(神戸市)が主催した患者対象のコンテスト「リリー・オンコロジー(腫瘍学)・オン・キャンバス がんと生きる、わたしの物語。」には、写真と絵画の2部門に計105点の応募があった。このうち、写真部門で受賞した2人を紹介する。

 ◇ ◇ ◇

◆次の撮影まで体力維持

 闇夜に浮かぶ富士山の山頂に、真珠のように輝く月。写真部門で最優秀賞を受賞した波多野(はだの)清さん(68)=愛知県豊川市=の作品「パール富士」だ。

 波多野さんは昨年四月、血便が出たことをきっかけに精密検査を受け、胃がんが発覚。すぐに胃を全て摘出した。写真が長年の趣味で、「ライフワークにしている桜の撮影に力を入れようとしていた直前のことで、ショックだった」。

 59歳のときには、妻を同じくがんで亡くした。その悲しみから8年たち、一人暮らしにもやっと慣れてきたころでもあった。手術後は食べ物を体が受け付けず、体重は15キロ減少。体力も落ちた。

 命にかかわる病気は初めて。以前にも増して、自然を意識するようになった。星の動き、道ばたに咲く花…。撮影仲間に誘われ、昨年10月から再び撮影に出掛けるように。

 受賞作は、静岡県富士宮市の田貫湖の湖畔から「十三夜」の月を狙った1枚。その後も富士山をからめた写真に挑んではいるが、天候が悪く、シャッターチャンスに恵まれない。「次の機会まで、体力を維持しなきゃと思う。次の撮影のことを考えていると、再発の心配が吹っ飛んで、気が紛れるのがいい」

◆ファインダーのぞけば気分晴れ晴れ

 荒木信子さん(71)=岐阜県各務原市=は、祭りの風景を「故郷(ふるさと)の詩(うた)」と題して出品し、優秀賞に選ばれた。

 撮影は一昨年4月。原因不明の微熱が続き「がんかもしれない」と不安を抱えていたときだった。故郷の神社の春の祭礼に向かう男性2人の力強い後ろ姿に「前向きな気持ちで行こう」という思いを投影した。

 その夏に肺がんと診断され、手術を受けた。再発や転移の不安から心身ともに弱っている時、趣味の写真教室の講師が「一緒に展覧会を開きませんか」と誘ってくれた。闘病に疲弊している荒木さんを気遣ってくれ、一緒に荒木さんの故郷の村に通うことになった。

 ファインダーをのぞいている時は、気分が晴れ晴れとしている自分がいる。受賞作品は、展覧会場でも飾った。「今も写真を撮りためており、また展覧会を開きたい」と話す。
 (佐橋大)

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