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【暮らし】<知って闘うアレルギー> 新型コロナ対策と両立を
2020/03/17
スギ花粉の飛散がピークを迎えている。国民病ともいわれる花粉症の患者にとって欠かせないマスクが品薄状態に陥るなど、新型コロナウイルスの感染拡大はアレルギー疾患を抱える人にも不安を与えている。症状を悪化させることなく、感染も予防するにはどうしたらいいか。藤田医科大総合アレルギーセンター(名古屋市中川区)の専門医らに聞いた。
名古屋市内の女性(51)は1月後半から、鼻水や目のかゆみなどスギ花粉症の症状が出始めた。すぐに不織布製のマスクを数10枚買ったが、今は手に入らない。同じマスクを1日使ってしのいでいるが、鼻水がのどに流れてせき込むことも多く、新型コロナへの警戒感が強い今は周囲の目が気になって仕方がない。
日本気象協会によると、今年は例年より早く花粉の飛散が始まった。予測ではスギ花粉のピークは名古屋で3月中旬、東京で同月下旬にかけて。4月にはヒノキのピークを迎える。
●布製マスクも有効
センター長で、呼吸器・アレルギー内科教授の堀口高彦さん(64)は「不織布製より目が粗いガーゼ製やハンカチなどの手作りも吸い込む花粉の量を減らす効果はある」と指摘。新型コロナ対策では換気が推奨されるため、室内でもマスクを着けるのが望ましいという。花粉が付きやすいけば立った生地の上着は避ける、帰宅時は早めに洗顔して花粉を落とすなどマスク以外の対策も徹底したい=図。
目のかゆみや鼻水の症状は顔を触る原因にも。手に付いたウイルスが、目や鼻の粘膜から体内に入ると感染のリスクが高まる。特に子どもはむやみに触ってしまうため、小児科教授の近藤康人さん(57)は「受診して薬で症状を和らげてほしい」と助言。鼻を上向きに強くこすると付け根にできる横向きのしわや、目の下のくまやしわは、頻繁に鼻をすすったり、目をこすったりしていることを示す。見つけたら、花粉症の可能性を疑うといい。
●正しく吸入薬使用
新型コロナで特に注意が必要なアレルギー疾患は、国内に患者が800万人以上いるとされるぜんそくだ。堀口さんによると、発作などの症状がなくても慢性的に気道が炎症を起こしているため、ウイルスに感染すると重症化しやすい。
国内では、ぜんそくによって年間1500人ほどが亡くなっている。重症患者でなくても、風邪やインフルエンザのウイルスによって症状が悪化して死に至る例もあるという。堀口さんは「状態が悪いと重症化の危険が高まる。炎症を抑える吸入ステロイド薬を続け、症状のない状態を維持することが大切」と強調する。
◆手洗い後すぐ保湿
新型コロナの感染予防には手洗いが大切だが、乾燥やかゆみ、赤みといった手荒れが気になる人も。こうした症状は「手湿疹」ともいわれ、頻繁な手洗いで皮脂が取れ、水分を保ちにくくなるのが原因だ。もともと水仕事をしている人やアトピー性皮膚炎の患者がかかりやすい。
「手洗い後は急激に乾燥するので数分以内に保湿して」と総合アレルギー科教授で、皮膚科が専門の矢上晶子さん。水分が残っていると蒸発する際にさらに乾燥する。保湿は、水分を拭き取ってからするのが大事だ。手にただれやひび割れができるとウイルスや細菌が繁殖しやすい。手を洗う場所に保湿剤を置くのも1つの策だ。手指消毒用アルコールは保湿成分入りを選ぶといい。
(小中寿美)
- せっけん液の横に保湿剤が置かれた手洗い(矢上さん提供)
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