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【社会】がん5年生存率66.4% 10~11年診断 改善傾向続く
2019/12/17
予防切除 保険適用可に 遺伝性の乳・卵巣がん患者
国立がん研究センターは13日、「がん診療連携拠点病院」など専門的な治療をする全国の病院で2010~11年にがんと診断された患者の5年後の生存率は66・4%で、09~10年と比べ0・3ポイント増加したと発表した。算出は5回目で、改善傾向が続いている。13年に診断された人の3年生存率は72・4%で、12年に診断された人の生存率を0・3ポイント上回った。
318病院、約65万人分の「院内がん登録」データを使った。
胃や大腸など患者が比較的多い5種類のがんについて、診断時の進行度と年齢別の生存率を集計すると、高齢者は若い世代より生存率が低い傾向があった。同センターの奥山絢子室長は「高齢者はがん以外にも病気を抱え、(強い副作用で体に負担のかかる抗がん剤など)若い世代と同じ治療ができない例があるためではないか」と話した。
都道府県別、病院別の生存率や患者数などは同センターのウェブサイト「がん情報サービス」で見られる。
ただ、自治体や病院ごとに患者の年齢や病状の構成がまちまちなため、治療の良しあしの比較には使えないとしている。
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◆予防切除 保険適用可に
◆遺伝性の乳・卵巣がん患者
遺伝性の乳がんや卵巣がんを発症した患者が、新たながんを防ぐために健康な状態の乳房などを予防的に切除する手術について、厚生労働省は13日、公的医療保険の適用対象とすることを決めた。中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案し、了承を得た。来年4月から適用する。
予防切除によって新たな発症や死亡のリスクが低下することが分かり、手術を受ける人が増加。費用が数10万円と高額なことから、学会や患者が保険適用を求めていた。
生まれつき遺伝子に変異があるために乳がんや卵巣がんのリスクが高くなる「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」の患者が対象。乳がんや卵巣がんを発症した患者がHBOCと診断され、手術を受ける場合に保険を適用する。診断や治療法を決める際に遺伝カウンセリングを行うことを求める。手術を希望しない人も、超音波などを使って経過を観察する検査が保険適用となる。
米国の人気女優、アンジェリーナ・ジョリーさんが2013年に受けたような、発症していない人が予防切除する手術は対象にならない。
厚労省は患者が適切なカウンセリングや治療を受けられるよう、実施できる医療機関の要件も定める。
HBOCの患者は、70歳までに乳がんになる確率は50%前後に達するという報告があるほか、40代までの若い年齢で発症することも多い。また、片方の乳房にできたがんを治療しても、もう片方に新たながんができるリスクも高い。
1年間に乳がんまたは卵巣がんと診断される約11万人の5%程度は遺伝性のがんで、このうち大部分をHBOCが占めるという。
日本乳癌(がん)学会の診療指針は、HBOCの女性の乳房にがんが見つかった場合、リスクを下げるために発症していない方の乳房を切除する手術を「強く推奨する」としている。
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