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【社会】看護職最大27万人不足 2025年推計、特に都市部
2019/10/22
厚生労働省は21日、看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師)が2025年に約6万~27万人不足するとの推計を発表した。訪問看護などの利用者が多い都市部で不足が顕著だった。27年は団塊の世代が全員75歳以上となり、社会保障費が急増する「2025年問題」も控える。医療従事者の需要はさらに高まるとみられ、同省は人材確保のため、過重労働になりがちな勤務環境改善などに力を入れる方針。
同省は今後、看護職の勤務環境が改善された場合を想定。残業時間と有休の取得日数のパターンを三種類設定して、それぞれ必要数を試算した。
その結果、①約202万人(残業せず有休20日以上取得)②190万人(残業10時間以内で有休10日以上)③188万人(残業10時間以内で有休5日以上)-となった。一方、実際の看護職員は16年に約166万人で年々増加すると見込むが、25年には約175万~約182万人までしか増えないとみている。
現在の勤務状況に最も近い「残業10時間以内で有休10日以上」で見た場合、看護職員は27都道府県で不足しており、特に都市部で顕著となった。
最も不足するのは、神奈川県で充足率・6%(不足数約3万2000人)。次いで大阪府で同・8%(同約3万6000人)、東京都で同・0%(同約4万2000人)。人口増加で医療需要などが供給を上回ることが要因とみている。
中部各県の充足率は富山県が111・2%、石川県が106・1%、福井県が98・6%、長野県が97・7%、岐阜県が96・9%、静岡県が92・7%、愛知県が92・4%、三重県が102・5%、滋賀県が95・4%。
特に需要が大きく高まるとみられる訪問看護や介護の分野では、負担の重さなどから離職者が多いため全国的に不足が課題になると分析。厚労省は昨年5月、介護職員も約33万7000人不足するとの推計を公表している。
厚労省の担当者は推計について、看護職員が充足するとした地域でも、へき地などで不足の恐れがあると説明。各自治体に対し「実情に合わせ、医療計画を見直すなどし人材確保などに努めてほしい」と求めている。
2025年問題 1947~49年に生まれた「団塊の世代」全員が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護などの社会保障費が急増する問題。人口は6人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上になるとされる。医療・介護費を抑制する狙いもあり、厚生労働省は住み慣れた地域で暮らす高齢者に、医療や介護、生活支援で一体的なサービスを提供する「地域包括ケアシステム」の構築を進めている。看護師を含め、医療従事者の需要がよりいっそう高まることが予想されている。
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