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【医療】ゲノム医療 効果期待 愛知県がんセンターなど「拠点病院」

2019/10/08

 がん患者の遺伝情報を調べ、最適な薬や治療法を探る「がんゲノム医療」。今年6月にがん遺伝子検査が公的医療保険の適用になったことを受け、国は9月、検査や結果の分析ができる拠点病院として愛知県がんセンター(名古屋市千種区)など34施設を指定した。新しい治療の道を切り開くとして期待が高まるが、対象者が限られるなど課題や限界を指摘する声もある。 (安藤孝憲)

検査時の説明 不可欠

 「がんゲノム医療が未来につながる技術であることは間違いない」。拠点病院の一つに選ばれた愛知県がんセンターの井本逸勢(いっせい)リスク評価センター長(57)=写真=は力を込める。一方で「実績に裏打ちされた抗がん剤や放射線などの標準治療を否定するものではない」とも。「あくまでも選択肢の一つ」と冷静だ。

 がんは、加齢などが原因で遺伝子が傷つき、変異することで起きる病気。変異のタイプは何種類もあり、効く薬も異なる。がん細胞内の遺伝子を解析し、がんの原因となった変異を見極め、治療に生かすのががんゲノム医療だ。最善の治療法を見つけられれば、薬の副作用をはじめ、患者にかかる負担は軽くなる。

 がんゲノム医療は、患者が「がん遺伝子パネル検査」を受けることからスタート。がん組織や血液などを基に、がんと関連する百種類以上の遺伝子変異を一度に調べる。結果は、専門の医師らでつくる「エキスパートパネル」と呼ばれるチームが分析。研究段階のものを含め有効な薬があるかどうかを検討する。

 6月にパネル検査が保険適用になったことで、患者の負担額は最大3割の約17万円に。高額療養費制度を使えば、さらに安価で済む。そのため、検査を希望する患者は、今後、確実に増えると予想される。

 がんゲノム医療を進める国は昨年から、中心的な役割を果たす中核拠点病院として名古屋大病院(名古屋市昭和区)など11施設、パネル検査を実施できる連携病院に各都道府県1カ所以上、計156施設を指定した。検査の実績や地域性などを基に、今回、指定された拠点病院は、連携病院ではできない検査結果の分析や治療方針の決定を単独で行えるのが特徴。専門医を育てる役割も担う。中部九県から選ばれたのは6施設。厚生労働省の担当者は「遺伝子変異のデータや治療の実績を増やし、薬にたどり着ける患者の割合を上げたい」と説明する。

 ただ、パネル検査で保険が適用されるのは、標準治療の効果が期待できない患者や、治療法が確立していない希少がんの患者らに限られる。厚労省は、こうした条件に当てはまるのは最大で年間2万6千人程度と見込む。井本さんは「毎年新たに100万人ががんにかかる現状を考えると、ごく一部」と指摘する。

 加えて、国立がん研究センターによると、検査を受けて具体的な治療法の提案に結び付く割合は、過去の研究から「10%前後」にとどまる見込み。薬の開発が追いついておらず、原因の遺伝子変異が分かっても対応する治療法がない場合が多いからだ。乳がんなど遺伝性がんの原因となる変異が見つかり、親やきょうだい、子どもの発がんリスクが、思いがけず分かってしまう可能性もある。井本さんは「主治医や遺伝カウンセラーによる検査前、検査後の丁寧な説明が欠かせない」と訴える。

 患者の遺伝子情報は同意を得た上で国立がん研究センターに蓄積され、新薬開発などに生かされる。「夢の医療」などとされるゲノム医療だが、井本さんは「がん研究の側面も持つ『これからの医療』である点も理解してほしい」と話す。

■中部地方のがんゲノム医療中核拠点病院
 名古屋大病院(名古屋市昭和区)

■拠点病院
・愛知県がんセンター(名古屋市千種区)
・三重大病院(津市)
・信州大病院(長野県松本市)
・富山大病院(富山市)
・金沢大病院(金沢市)
・静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)

井本逸勢・リスク評価センター長
井本逸勢・リスク評価センター長

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