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【暮らし】病院内アートで癒やし 不安を緩和、検査円滑に

2019/08/06

 病院の壁や医療機器などに絵を描いたり、院内で音楽を奏でたりする「ホスピタルアート」。治療や検査の際の緊張や恐怖を和らげるとして、取り入れる施設が増えつつある。10月には、先進的に取り組む英国の専門家を招き、名古屋と東京でシンポジウムが開かれるなど、医療関係者らを中心に注目を集めている。

 名古屋市瑞穂区の市立大病院小児科病棟のエレベーターホール。「あ、星が光ったよ。きれいだね」。家族連れが天井を指さしながらほほ笑んだ。同病院では2003年から、小児科病棟や新生児集中治療室(NICU)、小児科外来といった子どもにかかわるフロアでアートを導入している。

 病院というと無機質で色が少なく、自然も感じにくい場合が多い。星空は、長期に及ぶ入院生活で何年も空を見ていない子どものためにと、同大大学院芸術工学研究科教授の鈴木賢一さん(62)らがつくった。天井を直径2メートルの円形にくり抜き、その中に光ファイバーを配置。数分おきに、星に見立てた光が明滅する。

 壁に動物や鳥、木や花など大地や森をイメージした絵が描かれているのは、愛知県大府市の子ども専門病院・あいち小児保健医療総合センターだ。狭い空間が子どもを不安にさせるコンピューター断層撮影装置(CT)にもメルヘンチックな動物の絵が施されている。アニメなどを見ながら撮影ができる磁気共鳴画像装置(MRI)もあり、放射線検査室長の岩崎浩康さん(58)は「検査を嫌がっていた子も皆、中に入れるようになった」と話す。

 ホスピタルアートは欧米で広く普及。スウェーデンでは、病院の全体予算の2%までをアートに充てるよう定める地域もあるほどだ。ホスピタルアートの支援やコーディネートをする組織が各地にあるなど先進的な取り組みで知られる英国の調査では、認知症患者に生演奏を聞かせると67%で興奮が鎮まり、薬の量が抑えられたという。「芸術は患者の心を安定させて薬を減らしたり、検査が円滑に進んで回転率を上げたりできる。結果的に医療費の削減にもなる」と鈴木さん。「患者に加え、スタッフや家族も癒やされる」とも。

 ただ、容体や年齢など患者の事情に合わせ、内容には注意が必要だ。例えば、赤色は「血を連想させる」と嫌がる人も少なくない。また、鈴木さんは「医療機関側も、ほこりがたまりにくいなど清潔な状態を保てるアートかどうか、簡単に壊れないかなどを考える必要がある」と指摘する。

 ホスピタルアートは日本でも広がり始め、芸術系の大学との連携のほか地元の人が協力する例も。入院患者の個室に、住民が描いた絵画などを飾るのは堺市の耳原総合病院だ。約四百点の中から、患者が自分で好きな絵を選ぶ。今後は、医師や住民らも参加する朗読劇も予定している。院内の芸術活動を担う「アートディレクター」の1人で、チーフの室野愛子さん(39)は「アートは、何をすれば患者が生き生きとするかなどを、職員が考えるきっかけにもなる」と話している。

◆英の講師招きシンポ

 英国の医療アートディレクターらが講師を務める国際シンポジウム「英国の先進事例に学ぶ ヘルスケアアートとそのマネジメント」は10月12日後1~5、名古屋市立大病院、14日後1~5、東京都千代田区の東京国立近代美術館で開催。いずれも無料。予約が必要で先着順。「なごやヘルスケア・アートマネジメント推進プロジェクト」のホームページから申し込む。

 (花井康子)

小児科で星空観察=名古屋市瑞穂区の名古屋市立大病院で
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動物と楽しく検査=愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センターで
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