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【愛知県】医療的ケア児を災害時どう支援 みよし あす看護師ら勉強会
2019/07/09
人工呼吸器からの酸素吸入など日常的に医療器具によるケアが必要な子どもたちがいる。こうした「医療的ケア児」に対する十分な支援制度はなく、まして災害が起きたらどうすればいいのか分からず不安を抱えている家族も多い。現状を知ってもらおうと、医療的ケア児の訪問看護や家族の支援をしているみよし市三好丘桜の「こども訪問看護ステーションmom(マム)」が7日、看護師らを対象に勉強会を開く。(森本尚平)
◇ ◇ ◇
マムを2015年に立ち上げた看護師の沢野由佳さん(41)は以前、トヨタ記念病院の小児科で働き、ケア児を病院から送り出す立場にあった。「何の福祉サービスもなく、364日24時間、家族がケア児を看病しないと成り立たない」。家族が孤立するケースもある現状を目の当たりにし、自らケア児の訪問看護を始めた。現在、みよしや近隣の豊田、長久手各市などに住む60人のもとを、沢野さんを含め看護師や助産師8人で訪問している。
ケア児の中には、寝たきりや体勢が少しでも崩れると体調を壊す子もいる。それでも支援制度が不十分なため、家族が自力で病院に連れて行かなければならず、通院の準備に1時間以上かかったり、3、4人がかりで運んだりする必要があるという。災害が発生したら簡単に逃げることもできない。沢野さんは「普段の生活ですら家族の自助努力で成り立っている。中には『諦めています』という人もいる」と話す。
「危機感を共有し、少しでも仲間を増やしたい」と初めて勉強会を企画した。講師として16年の熊本地震でケア児の支援に尽力した小児科医をみよし市三好町の文化センターサンアートに招き、応募のあった看護師や特別支援学校の教諭ら50人とともに考える機会にしたいと考えている。勉強会は定員に達し、応募は締め切っている。
【医療的ケア児】 人工呼吸器による酸素吸入や胃ろうを通した栄養注入、たん吸引など、日常生活で医療ケアが必要な子ども。救命医療の発達で助かる新生児の数が増えた一方、ケア児も年々増加傾向にある。厚生労働省は全国に1万8000人以上いると推計。2016年、児童福祉法と障害者総合支援法の改正で、ケア児の存在が初めて明記され、自治体に支援への努力義務が盛り込まれた。
- 医療的ケア児の勉強会を企画し「知るきっかけに」と訴える沢野さん=みよし市三好丘桜で
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