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【医療】制度の穴埋めるケアを 在宅介護支える看護師の会 

2015/02/10

中部各地で発足温泉で入浴介助も

 在宅介護を支える有償ボランティア看護師の会「キャンナス」の設立が中部地方で相次いでいる。医療・介護など公的な制度の隙間を、看護師の技能で埋める取り組みだ。各地での活動を、2回に分けて伝える。 (佐橋大)

 ◇ ◇ ◇

 昨年末に発足したキャンナス岐阜(岐阜市)。1月中旬に舞い込んだ最初の活動は、12年前にパーキンソン病を発病し、車いす生活で要介護5の女性(72)の外出の介助だ。

 発病前に毎年初詣に訪れていた近くの神社への参拝と、市内の老舗温泉旅館での日帰り入浴。自宅で妻を介護する夫(73)と2人の外出に、キャンナス岐阜代表の永井杜椛(とも)さん(46)らがリフト付きの車を借りて、自宅に迎えに行き、温泉での入浴の介助などをした。

 妻が病に倒れて以来、温泉の利用は初めて。妻は入浴に介助などが必要だが、介護保険には外出時の入浴介助のサービスはなく、夫婦は諦めていた。訪問診療の主治医の勧めで、サービスを利用した。

 「日頃のストレスが飛んでいきました。いい思いをさせてもらいました」と、湯上がりの夫は感激。口数の少ない妻も「1年に1、2度は、来たいね」と笑顔を見せた。永井さんは「お2人のうれしそうな顔を見て、とてもうれしかった。亡き父母を見ているようで、じーんとしました」と話していた。

 キャンナス岐阜は、永井さんのほか、看護師ら10人がスタッフとして登録している。医療依存度の高い患者の旅行の同行のほか、終末期のがん患者の在宅療養を支援したり、障害児の介護者が一休みするため代わりに介護したり、希望に応じて提供する。利用希望者は、電話=058(213)8688=で連絡し、初回登録料5000円と協力金(1時間1480円以上)などを支払う。

 永井さんは保健所などに属さず地域で活動する保健師。健康をテーマにしたコミュニティーカフェの運営や、障害児の支援をするなど幅広い活動をしている。「制度のはざまで苦しむ人を助けたい」と考え、キャンナスを発足させた。「病気があっても人生は楽しんでいい。それができるようなお手伝いを」と話す。

 永井さんは7年前、がんで両親を相次いで亡くした。サービスが整わず、「最期は病院から自宅に戻りたい」という2人の願いをかなえられなかった。同じように悩む家族の力になりたいという願いも、活動には込められている。

      ◇

 キャンナスは「できる(キャン)」と「看護師(ナース)」を合わせた造語。「介護や看護で疲れている人が休める時間を」と1997年、神奈川県藤沢市で看護師の菅原由美さん(59)が始めた。菅原さんが代表のNPO法人「全国訪問ボランティアナースの会キャンナス」(キャンナス本部)が、同じ思いで活動を始める各地の団体にノウハウを伝えており、全国に75団体がある。

 中部地方では一昨年までに富山、福井、静岡、三重の各県や名古屋市で設立済み。昨年は岐阜市のほか、10月にキャンナス犬山(愛知県扶桑町)が発足。先月には富山県高岡市でも活動が始まり、4月には石川県輪島市でも発足の予定。

 各地のキャンナスの利用料はそれぞれ異なり、提供するサービスも少しずつ異なる。問い合わせは、各地のキャンナスへ。本部のホームページ(「キャンナス」で検索)で連絡先が分かる。各地のキャンナスに直接連絡ができない場合は、本部=電0466(26)3980=へ。 (次回は17日に掲載の予定)


◆キャンナスへの相談事例
・歩くのがつらいので家から病院まで送ってほしい
・高齢の独り暮らしなので、不便なことが多くて困っている
・仕事に出ている間、障害のある子どもを見てほしい
・介護保険を申請したが、認定されなかった
※キャンナスのホームページから

温泉での入浴介助の前に、サービス利用の夫妻に話しかける永井杜椛さん=岐阜市で

温泉での入浴介助の前に、サービス利用の夫妻に話しかける永井杜椛さん=岐阜市で

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