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【医療】看護師巡回 新たな試み 患者との時間増やそう

2015/02/03

記録や引き継ぎ病室で

 看護師ができるだけ患者に寄り添う「ベッドサイドケア」が注目されている。病室で必要なケアや記録がほぼできるよう台車を改良したり、看護師が病室で引き継ぎをしたり。ナースステーション機能の一部を病室に“移動”させることで、患者の転倒事故防止や安心感の向上につなげている。(山本真嗣)

 ◇ ◇ ◇

 名古屋市南区の大同病院は昨年8月、全室個室の新病棟ができたのを機に、ナースステーションで看護師が待機や作業に使っていたセンターテーブルを撤去。代わりに看護師が巡回に使う台車を改良し、収納力や機能性を高めた「モバイルナースステーション」(横77センチ、奥行き44センチ、高さ110センチ)を導入した。

 薬や点滴用の器具、体温計・血圧計など処置別に必要なものがそろい、2人1組で病室を回る。ノートパソコンを目の高さに設置でき、患者の容体や特記事項はその場で入力。廃棄物も見えない場所に収納する。病棟副主任の平井裕美子さん(45)は「ナースステーションに戻らなくてもすむので、患者さんのそばにいられる時間が増えた」。腎臓病で1カ月入院している女性(80)は「何度も顔を見せてくれるので安心」と喜ぶ。ナースコールは「ほとんど使わない」という。

 従来は定時の検温や食事、投薬などの処置時以外ナースステーションでパソコンに向かい、記録などを入力する看護師も少なくなかった。巡回時も台車に載せられるものが限られ、不足した器具をその都度、取りに戻っていたという。

 新病棟ができる前の1週間、同病院では頻繁にナースステーションに戻ってきたり、長居したりする看護師の動きを観察。看護師同士で必要な物品や収納法など知恵を出し合い、独自の台車を業者に特注した。

 効果はてきめん。以前は患者が自分でトイレに行こうとして転倒したり、ベッドから転落したりする事故もあったが、導入から昨年末までの日中の転倒・転落事故は12件と、前年同期(39件)より7割減った。「他の介助も目が行き届き、ナースコールにもすぐ対応できた」と看護科長の庄村和子さん(46)。

 医療安全の問題に詳しい滋慶医療科学大学院大(大阪市)の土屋八千代教授は、「どんなときに転びそうか。自分でどこまででき、どんな介助が必要か、看護師が近くにいるから患者は学べる。ベッドサイドケアは、患者の自己管理にも重要」と指摘する。

 ただ、多くの病院で看護師が患者の近くに居られる時間は大きく減っているという。理由の一つが医療の高度化などで、医師の診療を補助する負担が増えていること。医師の代わりに医療の一部を担う「特定看護師」制度の開始も10月に控え、「さらにその傾向が強まるのでは」と心配する。

      ◇

 チームで情報を共有し、患者に寄り添う時間を増やしているケースも。名古屋市北区の総合上飯田第一病院は、6年前から朝と夕、5~6人のチームで病室を巡回しながら、日勤と夜勤の引き継ぎをする「ウオーキングカンファレンス」を実施。当番同士が特筆事項や日程を確認する間、他の看護師が検温や点滴交換、清掃などをする。理学療法士や管理栄養士、ソーシャルワーカーらが同行することもあり、患者の様子をチームで確認する。

 導入前はナースステーションでの引き継ぎなどで一時間以上かかることも。さらに全てを1人でこなしていたため、患者の細かな変化に気を配れない看護師もいたという。看護副部長の縄田文子さん(48)は「新人が先輩の動きを見て、学ぶ場にもなっている」と話している。

大同病院が導入したモバイルナースステーション=名古屋市南区で

大同病院が導入したモバイルナースステーション=名古屋市南区で

チームで病室に出向き、夜勤と日勤の引き継ぎをする看護師ら ※※ =名古屋市北区の上飯田総合第一病院

チームで病室に出向き、夜勤と日勤の引き継ぎをする看護師ら ※※ =名古屋市北区の上飯田総合第一病院

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