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【社会】「院内学級」生きる願い 闘病高校生 大村知事に手紙

2014/10/19

 院内学級の高等部をつくってください-。難治性の腎臓がんで、名古屋大病院(名古屋市昭和区)小児科に長期入院している伊藤義希(よしき)さん(17)=愛知県立瀬戸窯業高校デザイン科2年=が、愛知県の大村秀章知事に陳情の手紙を書いた。義務教育ではない高校生を対象にした院内学級や訪問授業は全国でも少ないが、大村知事は「前向きに検討したい」と話している。(編集委員・安藤明夫)

 ◇ ◇ ◇

 伊藤さんは中学2年の時に左腎臓にがんが見つかり、2012年3月に同病院で摘出手術。放射線や抗がん剤治療を続け12月に退院したが、わずか3カ月で再発した。体調が悪い中、高校入試に臨んで合格。名大病院には小中学生の院内学級があり、教師や仲間の励ましが大きな力になったという。

 「漫画家になりたい」とデザイン科を選んだが、入学式に出たきりで登校はできず、入院が1年半続く。今は体調のいいときに、ベッドに座ってスケッチをする程度だ。

 大村知事への手紙は、学校に行けないつらさ、入院生活の孤独さを便箋2枚につづり、「デザインの勉強がしたい」「今後入院してくる高校生が私のような思いをしなくてすみます」と院内学級の高等部を要望した。

 高校生が学べる院内学級は現在、東京都と沖縄県などにしかない。それ以外に教師の訪問教育は少しずつ増えている。

 大阪府では11年、府立高校生だった故・久保田鈴之介さん=享年18=が橋下徹大阪市長にメールで要望したのをきっかけに、非常勤講師を病院に派遣する事業ができた。今までに26人が利用している。神奈川県では横須賀市の佐野雛子(ひなこ)さん(17)から黒岩祐治知事への訴えにより、在籍校から病院へ教師を派遣する「院内高校」が今年九月から始まった。伊藤さんは「久保田さんのことを病院のスタッフから聞き、今の自分ができることを考えた」と話す。

 伊藤さんの病状は重く、強力な抗がん剤治療で、がんの増殖を食い止めている状態。4月に主治医に告知を希望し、「現状では治る展望はない」と説明を受けた。だが、「治ることはあきらめても、生きることをあきらめたわけじゃない。あこがれの高校生活、このまま終わらせたくない」と前を向く。

 大村知事は「病気と闘っている子どもたちの勉強したい思いを、大人としてはかなえてあげないといけないのではないか。今後、担当部局から相談があると思うので、前向きに検討するよう指示したい」と話している。

【院内学級】 慢性疾患などで長期入院している児童、生徒のため、各地の教育委員会が病院内に設置する学級。病弱・身体虚弱を対象とした特別支援学校や特別支援学級の分校、分教室に位置付けられる。教員が病院内に設けた教室や病室で、病状に応じたカリキュラムで授業を行う。長期入院の子どもがいない病院もあり、院内学級があるのは小児病棟のある全病院の3割ほど。

「デザインの勉強がしたい」と、病室で絵を描く伊藤義希さん=名古屋市昭和区の名古屋大病院で

「デザインの勉強がしたい」と、病室で絵を描く伊藤義希さん=名古屋市昭和区の名古屋大病院で

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