中日新聞 CHUNICHI WEB

医療・看護・介護・福祉系の学校を目指す方・高校生の進学情報

無料会員登録

  • トップ
  • 学校情報
  • オープンキャンパス
  • 進学ガイダンス

中日新聞 進学・医療・福祉NEWS

【三重】現場から/藤田保健衛生大 地域と学生結ぶ

2014/06/16

訪問看護 先駆的試み

 高齢化が進展し、在宅医療の充実が求められている中、藤田保健衛生大(豊明市)は、先進医療と在宅医療の結びつきを強めようと昨年3月、県内の大学では初となる訪問看護ステーションを学内に開設した。現在は、モデル的に地元の豊明団地の住民らと積極的に関わる活動を進めており、地域医療と学生らの教育の充実を両立させていくのが狙いだ。(中崎裕)

 ◇ ◇ ◇

 「頭痛はしますか?」。豊明団地の一室で、介護ベッドで横になっている渡辺文子さん(86)に、看護師の牧野幸子さん(56)が優しく声をかけた。家族には「薬はどれを飲んだ?」「排便はいつ?」と尋ね、相談に応じていく。

 肺がんを患う文子さんは、手術や抗がん剤治療を受けず、痛み止め中心の緩和ケアを続けてきた。4月と5月に一時、同大病院に入院したが、今は週に3回の訪問看護と、週一回の往診を受ける。

 「住み慣れた家で生活し、潜在的な活力で体を戻していける」。退院後、在宅看護を受ける患者らを見てきた牧野さんは、現在はこう語るが、病棟で勤務していた昨年10月までは少し認識が違った。「患者さんの退院後の生活が見えず、重いがんの人を家族が自宅で見ていくのは無理じゃないかと思っていた」

■大学病院の役割

 「先端医療や急性期を扱う大学病院の医療スタッフも、今後は在宅医療を知ることが大事」。大学の地域包括ケア中核センターに設けた訪問看護ステーションで、看護科長を務める小島菜保子さん(46)は話す。

 これまでは、入院患者の在宅での態勢をケアマネジャーらと準備する「退院調整」のため、「2週間ほど長く入院していた」という。病院の看護師が在宅医療を知ることで、退院日を見据えて早い段階から準備が進められるようになり、入院日数の短縮にもつながると期待される。

 症状が急変しやすい末期がん患者らの場合、在宅でも大学病院の担当医と密に連携できる利点は大きい。

 通常は、大学病院で治療後は地域の医療機関での対応が中心となり、関係はとぎれがちだった。だが、渡辺さんの家族は今、「先生にも相談してもらえて安心」と口をそろえる。

 介護保険利用者が大半の一般的な訪問看護ステーションと比べ、同大は末期がんなどが対象となる医療保険利用者が六割ほどを占めるため、「地域の事業者とすみわけもできている」と語る。

■学生の選択肢

 同大では、学生にも在宅医療に積極的に関わってもらう方針だ。

 豊明団地の空き店舗に、保健師による相談や学生活動の拠点を設置するほか、空いた部屋に医学部やリハビリを学ぶ学生が数人で住みこむ構想もある。管理する都市再生機構との協議がまとまれば、来年度にも本格化させたい考えだ。

 計画を担当するリハビリテーション学科講師の都築晃さん(39)は「学生にとっても、自分の責任と自由さを持ちながら、患者さんと向き合う在宅医療が魅力的職場と見てもらえるようになれば」と話し、学生の将来の選択肢の拡大にもつながってほしいと期待する。

【藤田保健衛生大の訪問看護】 在宅で医療や介護を受けられる「地域包括ケア」推進の一環として昨年3月から、豊明市や名古屋市緑区など同大から10キロ圏内での訪問看護を始めた。大学病院や地域の居宅介護事業所と連携し、主に末期がんの患者に対応。当初は看護師3人態勢だったが、看護師7人と理学療法士2人、兼務の大学教員5人に拡充。現在は81人の患者に対応している。

渡辺文子さん(右)に体調を尋ねる看護師の牧野幸子さん=豊明市で

渡辺文子さん(右)に体調を尋ねる看護師の牧野幸子さん=豊明市で

最近の中日新聞進学・医療・福祉NEWSバックナンバー