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中日新聞 進学・医療・福祉NEWS

【医療】医人伝/看護学部設置準備室長 大見サキエさん(60)

2014/05/20

岐阜聖徳学園大(岐阜市)
復学児童温かく迎えて

 「A君はかみのけがぬけてしまっていることをかなしんでいます。A君はがっこうでみなさんといっしょにべんきょうすることをたのしみにしています」

 浜松医科大(浜松市)看護学科にいた5年前、小児がんを克服して学校に戻る児童がスムーズに復学できるよう、迎え入れる側の児童向けに冊子を作製。わかりやすい言葉で理解を求めた。「学校でいじめや嫌がらせに遭わず、待ちわびた学校生活を楽しめるように」との思いからだ。

 鹿児島県生まれ。熊本大教育学部にある看護教員の養成課程で学んだ。看護師を育てる先生になるコースだが、病院での臨床にこだわった。がん患者が家族と最期の時を過ごし、それを何度もみとるうち、緩和ケアや終末期医療に関わりたいと思うように。卒業後、看護師として熊本中央病院(熊本市)に勤務した。

 姉が愛知県に住んでいた縁で、1980年から勤め始めた同県安城市の更生看護専門学校で教員になったが、臨床へのこだわりを捨てなかった。学生らの臨床実習をしていた安城更生病院である日、小児がんで入院中の男児が1人寂しく卒業式の日を迎えた。突然、病室の外から級友の声が聞こえた。「卒業おめでとう」。校長が同級生を連れて、励ましに来たのだ。

 「小児がんの子どもたちは、普通に学ぶこと、子ども同士で仲良くつながることが生きる希望になる。そのサポートをしたい」との思いを強めた。安城市や近隣市で校長や教員向けに、復学児童を受け入れるための講習会も開いた。

 2004年から勤務した浜松医科大では、大学病院から退院、復学する児童の学校から校長や担任教師に来てもらい、受け入れ環境を整える会議を始めた。事前に子どもや家族から不安を聞き取り、学校側に伝える“仲介役”もした。

 昨年から勤める岐阜聖徳学園大では、看護学部の設置準備に奔走中。来年4月には教壇に立つ予定だが、赴任の目的はもう1つある。同大教育学部で学び、教員を志す学生たちに、病後児童の復学後の受け入れを啓発することだ。「教員になる若者たちに意識を持ってもらえればと、ずっと考えていた。学部の授業ではなくとも、病後児をケアするボランティア活動などを通じて、子どもの心を理解してもらえれば」と意気込んでいる。(今村太郎)

復学児童への理解を求めるパンフレットを手にする大見サキエさん

復学児童への理解を求めるパンフレットを手にする大見サキエさん

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