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【流儀あり】現場通い社員に声掛け 日本車両製造・生島勝之社長

2010/01/21

 新幹線(の車両)は東京でも造ってたんですが、昭和47(1972)年からは豊川製作所(愛知県豊川市)で、全部造るようになったんです。

 私は会社に入って豊川へ行ったから、新幹線は全部関係している。0系、100系、JR東海の300系、700系、N700系、JR西日本の500系…。JR東日本のE2や、東北上越新幹線の200系もやってますけどね。

 今でもね、工場へ行くんです。月1、2回ですけど。「ようやっとるか」とか「元気か」と声掛けて。向こうも「社長」って言わないで「イクさん」という言い方ですからね。

 N700系を量産に移す段階で、開発や生産体制の問題と設計、コストの問題をどうバランスとれるようにするか、作業のやり方の相談に乗って指導しました。JR東海とも協議して、いかに軽量で強度を損なわない車両を造っていくか、そこにいっぱい手が入っているんです。

 まじめで誠実なことが伝統の会社ですが、従業員はプライド持ってると思いますよ。今、一番高速の最新鋭の新幹線を造ってるトップメーカーで、将来、海外で高速車両までやっていく会社であると。

 正月に家へ帰って、家族やら親類縁者とかから「新幹線造っててかっこいい」って、分かりやすいですよね。一番良い車だと思います、N700は。それを難なくとはいいませんが、ちゃんと造っていくんですから。

 (国内の新車両需要が)大体収まるのが2012年か、その半年後ですね。車両の置き換え需要も一巡してる。そうすると、おのずと海外展開を本格的にやっていきたい、ということになる。

 27年たつのかな、アメリカへの販売を始めて。僕も25年ほど前からやってます。工場の立ち上げから現地での最終組み立てまで。韓国、イタリアでも一部やってました。生産体制をうまくつくって管理して、納期通りにやっていくっていうのが大事です。

 海外にはビッグなメーカーがありますから。ボンバルディア、アルストム、シーメンス…。そういうところと伍(ご)してやっていくのは大変ですが、われわれは実績のある車を中心に、新たな車両も開発しながら展開していこうという考えです。体制を整えて、大規模な地下鉄案件なんか、機会があればやっていきたいですね。

 【いくしま・かつゆき】 大阪大工学部卒、69年日本車両製造入社。常務などを経て06年から社長。07年から1年間は鉄道車両本部担当を兼務し、新幹線の新型車両「N700系」を量産する際、陣頭指揮を執った。65歳。大阪市出身。