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【経済】経団連、定昇凍結を検討 経労委報告

2010/01/20

 日本経団連は19日、2010年春闘での経営側の交渉指針を示す「経営労働政策委員会(経労委)報告」をまとめ、事実上春闘がスタートした。報告では雇用不安に配慮して「企業は引き続き雇用確保に最大限努力する必要がある」と明記した。

 一方、賃金交渉については「賃金カーブを維持するかどうかは労使が実態に即し、話し合いが必要」などと定期昇給(定昇)の凍結などを検討する方針を示した。

 連合や産業別労働組合の多くは、今春闘でベースアップ(ベア)の統一要求を見送る一方、定昇確保は譲らない方針を掲げており、春闘交渉は定昇維持をめぐって激しい攻防が展開されそうだ。

 報告は現在の景気認識について、リーマン・ショック後の世界同時不況の傷跡が「なお深い」とし、急速な円高やデフレ進行を挙げて「さらなる悪化も懸念される」とした。

 今春闘に対する基本的考え方では「賃金より雇用を重視」と明記し、「雇用の維持、確保」を目標の柱の一つに掲げる連合と歩調を合わせた。

 一方、賃金水準に関しては「ベースアップは困難と判断する企業が多い」「定昇のベースとなる賃金水準は総じて世界トップクラス」などと抑制色を随所にちりばめた。

 会見した経団連の大橋洋治経営労働政策委員長は「雇用の確保に重点を置いた。積極的にベースダウン(賃下げ)を推奨する趣旨ではない」と釈明した。

 これに対し連合は同日、「賃金抑制の動きを強めれば個人消費がさらに低迷し、デフレスパイラルを加速するのは必至。定昇見直し論は容認できない」などの反論文書を配布した。

 今春闘は今月26日に経団連、連合の首脳会談で本格化。3月17、18日に予定されている集中回答日に向け、労使の攻防が始まる。