2008/09/20
ねんきん特別便の封筒は緑と青の二種類じゃなかったの? 社会保険庁が年金受給者、現役加入者に郵送している特別便だが、政府広報で二色のほか黄・灰色の封筒も紹介された。しかし、新たな二色について社保庁の説明はなく、「混乱を招きかねない」と心配する声が出ている。 (山本哲正)
七月上旬、新聞各紙に掲載された政府広報は「特別便が届いたら必ず回答を」と呼び掛ける内容で、上から緑、青、灰、黄の順に四枚の封筒を重ねた写真を掲載。四色とも特別便と受け取られかねない内容だ。
しかし黄・灰色は厳密には「特別便ではない」(社保庁)。社保庁のコンピューターで調べた記録を本人に確認してもらう目的の特別便とは違い、黄・灰色は別の調査で分かった情報の「お知らせ」だ。この二色の封筒が届いた場合、記録解明に結び付く可能性が高く、冷静に対処したい。色別に見ていこう。
黄色は「年金記録の確認のお知らせ」。封筒の裏面に「特別便とは別のお知らせ」と朱書きしてある。
本人のものである可能性がある記録の「制度名」と「期間」が記載されている。同封された回答票に、勤務先名、当時の住所地など思い出せる範囲でなるべく細かく書いて返送する。返送内容が確認された場合、統合後の加入履歴が新たに送られてくる。
七月までに送付されたのは、いわゆる「宙に浮いた」約五千万件の記録を住民基本台帳(住基ネット)を使って名寄せした結果、新たに判明したものが中心。以降、仮名変換のミス、または旧姓記録の調査を進め、順次送付される。
灰色は「年金加入記録の確認のお知らせ」だ。一九五四年四月一日以前の退職や転職で途切れている厚生年金、船員保険の旧台帳記録を調べ、統合漏れの可能性が高いと判明した人を対象に、五月末に発送された。社会保険事務所で電話による確認作業を進めるため、はがきに電話番号を記入して返送する。
ちなみに特別便の状況はどうか。青色は宙に浮いた記録に結び付く可能性がある約一千万人に対し、三月末までに発送された。二月以降に「チェックポイントを分かりやすくした」資料を同封し再送したが回答率は約54%。年金受給者では、回答したうちの約71%が「訂正なし」(五月末現在)で、十分確認されているとは言い難い。
ただ、社会保険事務所が電話や訪問で「○○という業種に勤めていなかったか」とヒントを出して思い出してもらう照会作業を進め、「七、八割は『やはり自分の記録だ』と思い出してもらえている」(社保庁)という。
緑色は、青色を受けとっていないすべての年金受給者、現役加入者に対し、十月までをめどに送付している。
社会保険労務士の内海正人さんは「同封の『チェックポイント』は教科書通りでまだ分かりにくい。特に加入の空白期間が一カ月に満たない場合、判断に悩む人が多い」と指摘。四色の封筒についても「社保庁が説明しないから、四色とも特別便と誤解される。相変わらず、突貫工事、場当たり的作業が続いているのでは」と批判的だ。
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