2010/01/15
おもてなし意識高く
デパートで困った時に、何でも笑顔で対応してくれるインフォメーション。昨年、小学生の女の子たちが職場体験したのを取材して、「面白そう」と松坂屋豊田店に体験を申し込んだ。
午前十一時半。この日遅番だった奈良由希さん(23)と一緒に、二階入り口にある案内カウンターに入った。女性用の制服しかないため、渡されたのは名札のみ。手荷物の預かりや駐車券のサービス業務など仕事の説明を受け、「お客さまへのあいさつを忘れないでくださいね」と言われた。
「いらっしゃいませ」。カウンターを通る人に軽く会釈しながら、あいさつ。これまで接客業をしたことがなかった記者には、照れくさい。
奈良さんは「最初のうちは難しいかもしれません」とひと言。普段何げなく交わすあいさつも、お客さま相手だとどうしても緊張してしまう。それでも、行き交う人にあいさつを続けていたら、奈良さんからお褒めの言葉をもらえた。
並行して、駐車料金サービス業務にも挑戦。駐車券を機械に通すだけで、簡単と思いきや、こつが。「お客さまの手にインクがつかないよう、スタンプがついていない方を渡してください」。さりげない心配りに感心させられた。
あいさつや駐車券業務に慣れたと思ったら、男性に「お金をおろしたいんだけど」と聞かれた。一瞬、凍り付き奈良さんの顔を見る。何事もなかったように奈良さんは、すらすらと場所を教えていた。
奈良さんによると、商品が入れ替わったり特設会場が設けられたりしても質問に答えられるよう、毎週水曜日に全館内を巡回してどこに何があるかを頭に入れている。カウンター内には電話帳や時刻表、住宅地図も常備。「聞かれたことには、何でも答えられるようにするため」という。
カウンターに立ち続けて、一時間以上。足がぱんぱんになってきた。「始めたころは私もそうでした」と、五年目の奈良さんは笑顔を崩さない。
「私たちはお客さまに商品を買っていただくわけでないので、おもてなしの心を伝えたい」。意識の高さに驚かされた。(杉山直之)
【メモ】インフォメーションに資格は必要なく、豊田店では三人が交代で勤務している。身分は契約社員だが、給料は経験などによって、さまざまという。
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