2010/01/14
昨年納めすぎた所得税を戻してもらう還付申告の受け付けが、各地の税務署やインターネット上の納税システム「e-Tax(イータックス)」で一日から始まっている。医療費は内容によって控除対象の有無がある。本人や家族が要介護の認定を受けていれば、自治体への申請によって税法上の障害者と認められ、税金が戻ってくるケースもある。昨年中に失業した人は申告すれば、税金が還付される可能性が高い。 (佐橋大、境田未緒)
◆要介護者 障害者控除認める例も
障害者控除は、障害者手帳を持つ人に限らず、市町村長などが「障害者に準ずる」と認めた六十五歳以上の人でも受けられる。要介護認定を受けている人は、これに当たる可能性がある。
愛知県豊明市の男性(76)は要介護1の認定を受けている。昨年二月、障害者控除について書かれた本紙の記事を、男性の妻(70)が読み「夫も当てはまるのでは」と市に申請したところ、すんなり障害者控除認定書が発行され、二十七万円の障害者控除が受けられた。「前の年から要介護1の認定を受けていたが、障害者控除なんて、思いもしなかった」と妻は話す。
要介護を理由に、税法上の障害者と認めてもらうには原則、申請が必要。どこまでを障害者と認めるかは自治体によってばらばらだ。
申請すれば、要支援2でも税法上の障害者とする市がある一方、申請しても、要介護4、5でないと、障害者と認めないところも。
該当する可能性のある人に申請書などを送り、申請を促す自治体や、要介護1以上の人すべてを障害者と認め、申請がなくても対象者に認定書を送っている市や町もあるが、何の告知もしない自治体も依然としてある。
介護度が重い人なら、四十万円の特別障害者控除が受けられることも。障害者手帳を取得できる可能性があり、住んでいる自治体と障害の程度によっては、医療費の助成を受けられる場合もある。
◆失業者 納めすぎの場合が多い
昨年、会社を辞めるなどして失業したまま年を越した人も、還付申告することで、払いすぎた税金が戻る可能性がある。
サラリーマンや公務員は通常、年間を通して勤務するものとして、給与から所得税が源泉徴収されている。年の途中で会社を辞めた場合、それまでの期間は、十二カ月働く前提の水準で所得税が天引きされているため、納めすぎている場合が多い。
このため、還付申告すると納めすぎた所得税が戻ってくる。ただし退職した年に再就職した場合、原則として新しい勤務先が前の勤務先の給与も含めて年末調整することになっており、納めすぎは解消している。雇用保険の失業給付は非課税のため、申告する必要はない。
申告には、勤めていた会社の源泉徴収票が必要。会社が倒産して源泉徴収票をもらえなかった人は、給与明細書を税務署に持って行き、相談するといい。一昨年より前に失業し、還付申告を忘れた人も、退職した翌年の一月一日から五年以内であれば、還付申告できる。
失業した人などに還付申告のアドバイスもしている名古屋管理職ユニオン(名古屋市中区)では、税理士や公認会計士、社会保険労務士などと連携して相談に当たっている。山上博信委員長は「解雇された人は、サービス残業代の未払いなどの問題があることも。還付申告を機に、合わせて解決してほしい」と話している。
◆期間外でも手続き可
確定申告の提出期間は二月十六日~三月十五日。納めた税金を医療費控除などで返してもらうだけの還付申告なら、この期間に縛られず、税務署などで手続きできる。
ただし、年収二千万円超など一定の条件に当てはまる給与所得者や、年金生活者で所得税が源泉徴収されている人は、原則、確定申告の時期に申告しなければならない。
国税庁のホームページ(「国税庁」で検索)にある「タックスアンサー」に参考情報がある。ページには「確定申告書等作成コーナー」もあり、比較的容易に必要書類を作ることができる。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから