2009/12/29
冷え込みが一段と厳しくなった28日、名古屋市中村区の西柳公園にテントが次々と設営され、職や家を失った人たちを支援する「名古屋越冬活動」が本格化した。昨秋からの不況が暗い影を落とす中、夕方から始まった活動突入集会には、支援団体や労働組合のメンバー、家を失った当事者ら数百人が集まった。
名古屋駅から徒歩数分。トヨタ系のビルに囲まれた小さな公園に8つのテントと簡易トイレが設営された。支援団体などでつくる実行委員会が1月4日まで24時間体制で炊き出しや生活健康相談、散髪、ホームレス訪問などの支援をする。
支援者によると、東京で年越し派遣村ができた昨年に比べれば、集会はやや落ち着いた雰囲気ではあるが、公園の真ん中にたき火がたかれると、人の輪が二重三重にできた。
輪に加わった実行委員の男性(54)は職も家も失った1人。4月にコンビニのアルバイトの仕事を失い、6月末に路上へ。数年前に結核を患って力仕事はできず、新たなアルバイトはなかなか見つからない。「あきらめの心境だった」と振り返る。
「生きていても…」とビルの屋上に立ったこともあったが、炊き出しで支援者と出会い、今は市内の公園の小屋に住む。知り合いに誘われ実行委に名を連ね、活動を手伝う。「これも私に与えられた1つの仕事かな、と。路上で頑張っている人の手助けができれば」
集会後は、炊き出しで温かい親子丼が振る舞われた。市の事業で無料宿泊所も開かれるが、例年、施設になじめず同公園で寝泊まりする人もいるという。
◆名古屋市が無料宿泊所開設
家を失った人に年末年始を過ごしてもらおうと、名古屋市は29日から来年1月7日にかけ、港区船見町の「旧船見寮」に無料宿泊所を開設する。宿泊所への入所や入院などの相談を受け付けるため、29、30の2日間、中村区役所に臨時相談所を設ける。
名古屋駅周辺には、安定した住所を持たない日雇い労働者が多く、就業機会が減り、宿泊場所に困る人が増えるとして、市の簡易宿泊所だった同寮を例年提供している。
派遣切りが相次いだ前年は、臨時相談所に435件(前年度比90件増)の相談があり、394人(同68人増)が無料宿泊所を利用した。
今年の見通しについて市保護課は「雇用情勢は確かに厳しく、再就職は大変だが、派遣切りなどの解雇は収まっている」とし、予定人員を450人と設定する。
このほかの援護内容には、生活保護施設、養護老人ホームなどへの入所、医療機関の受診や入院、帰郷のための旅費支給がある。
臨時相談所の開設は玄関ロビーで午前8時半から午後2時まで。
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