2009/12/24
米国の金融危機に端を発した昨年秋からの不況で、県内の中小企業が従業員の採用を34%減らし、自動車を中心とする製造業に限ると74%の大幅減となったことが民間シンクタンクの北見式賃金研究所(名古屋市)の調べで分かった。一方、解雇された従業員は3・5倍に急増、製造業では5・7倍に達した。
同研究所は「トヨタ自動車が大幅赤字に転落したトヨタショックで、県内の中小企業は『直下型地震』並みの打撃を受け、なりふり構わぬ雇用調整に走っている」と分析する。
従業員30~300人の県内の中小企業約250社が2008年9月に起きた「リーマンショック」の前後1年間に採用した従業員数を比べた。全業種のうち自動車関連は77%減で、採用を4分の1の水準に絞り込んだ。
北見昌朗所長は「昨年秋の時点で内定を出していた企業が、採用を取り消したケースも相当数に上ったのではないか。来春は新規採用を凍結する企業が増えるだろう」と話す。
一方、解雇された従業員数をリーマンショックの前後で比べると、自動車関連は21人から136人へ6・5倍に急増。求人難で転職も厳しく、自己都合による退職は全業種で20%減った。
北見所長は「今は(従業員を解雇せず休業させた企業を補助する)雇用調整助成金でしのいでいても、今後は支給が打ち切られる企業が増える。景気悪化の『二番底』を恐れる経営者も多く、雇用環境が好転する要素は今のところ見当たらない」と厳しい見方を示す。
(白石亘)
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