2009/12/16
収穫4、5秒 重さ実感
みずみずしい冬キャベツが店頭に並ぶこの季節。温暖な渥美半島は全国でも有数の生産地だ。たまに包丁を握る記者にとっても欠かせない食材。その生産過程を学ぼうと出荷で忙しいキャベツ農家の元を訪れた。
午前九時。田原市大草町の冨田信也さん(57)の畑にやって来た。五・五ヘクタールの大地に丸々と大きく育った緑色の玉が並ぶ。待っていると冨田さんが鉄かごを載せたトラクターに乗り畑に入っていった。
収穫地点に着くと妻絹代さん(54)と並んだ。「じゃあ、行きます」。しゃがんだと思った瞬間、二人はナイフで根元の芯部分を切り取り一玉ずつかごに積み続けた。一玉の作業時間はわずか四、五秒。たちまちかごにはキャベツの山ができた。冨田さんがこっちを見た。「じゃあ、やってみて」
ナイフを渡され、玉の根元を探るもなかなか切る場所が見つからない。ぬかるんだ畑で右往左往していると、玉の外側の葉を破って芯を出すこつを教えてもらった。言われた通りに破ると真っ白な芯が登場。あとは迷いなく刃を当てて「ガリガリ」と切り取った。
でも、よく見ると切り口は斜めでゆがみ不格好な状態に。「土から玉ごと抜いて切るやり方もあります」と絹代さんは笑った。
収穫後は自宅横の倉庫に移動して箱詰め作業に入った。一箱に入れる玉数は大きさによってまちまちだが、作業を手伝っていると冬キャベツの玉の重さを実感した。「一個の重さは一・五キロ程度。冬キャベツは固く締まって重量感があり、加熱料理に適してる」と冨田さんは胸を張った。
生産者として一番心掛けていることを冨田さんに聞くと開口一番、「毎日すべての畑を見回ること」。生育過程で肥料の追加や消毒の必要性など気を使うことは多く、収穫期の現在は毎日大忙しだ。
冨田さんは「元気な若者ならどんどん(キャベツ生産に)挑戦してほしい」と話す。キャベツ農家のこだわりに感心した一日だった。(藤原哲也)
【メモ】JA愛知みなみのキャベツ農家でつくる常春部会のメンバーは約450人。10~6月に年間500万ケース(1ケースに6~8玉程度)を出荷する。田原市営農支援センターでは新規就農希望者を対象に生産者の紹介や相談などを行っている。(問)同センター=電0531(45)3114
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