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【愛知】「協同労働」広めたい 法整備求めネットワーク発足へ

2009/12/12

 自分たちが出資して協同組合を作って働き、ともに経営する「協同労働」という働き方が増えている。景気低迷による雇用情勢が厳しい中で、「ほそぼそとでも地域に役立つ仕事ができる」と、新たな雇用の場としても注目されている。すでに取り組む県内の団体が12日、法制化などを求める「あいち協同労働ネットワーク」を発足させる。

 協同労働は、日本労働者協同組合連合会(東京)などが30年前から取り組み、県内でも介護福祉や子育て、公共施設の指定管理の受託を中心に広がる。労働者が出資額にかかわらず1人1票の発言権を持って経営に参加、給料や運営方針を決めるのが特徴だ。

 ただ、見合う法人がないため、協同労働を先取りする団体は特定非営利活動法人(NPO法人)など、より近い法人格を得て活動している。

 名古屋市名東区にある「愛・Iホームヘルパーステーション」は40~50代の主婦が働き手の中心。ホームヘルパー資格を取り、6年前に立ち上げた。訪問介護の利用者もスタッフも年会費3000円で会員となり、年1回の総会では1人1票を持つ。

 「子育てが終わり、自分が生きがいに感じる仕事をしたかった」と管理者の加藤香代子さん(59)。掃除や食事作りなど、介護保険制度対象外の「たすけあい事業」、高齢者が気軽に集まるサロンも開く。「(要介護度が低いと)営利企業はもうからないと断る例もある。でも、やってほしいという声に応えたい」という。

 ネットワークは「愛・I」を含め十数団体が加わる予定で、法整備を求めたり協同労働の起業支援に取り組んだりする。県高齢者生協の山崎亜土常任理事(47)は「景気が良ければ高給をもらい、悪化すると派遣切り。利益を追うだけに左右されない働き方が求められている」と力を込める。

 12日は午前10時半から、名古屋市中区平和の高齢者労働会館で設立総会と記念講演がある。(問)あいち労働協同事業団=電052(331)0541

 (奥田哲平)

「愛・I」が月2回開く高齢者サロンで、粘土でリースづくりを楽しむ加藤さん(右)。「将来は子どもも障害者も集まれる場所にしたい」=名古屋市名東区で
「愛・I」が月2回開く高齢者サロンで、粘土でリースづくりを楽しむ加藤さん(右)。「将来は子どもも障害者も集まれる場所にしたい」=名古屋市名東区で