中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【雇用崩壊】帰国支援に1万6000人申請 失職日系人、愛知は最多の4485人

2009/11/24

 仕事を失い、生活に困っている日系人を対象とした帰国支援制度の申請者が、制度がスタートした今年4月から11月半ばまでの間に計約1万6000人に達したことが23日、厚生労働省の調査で分かった。大半は製造業の「派遣切り」などで生活苦に陥った南米出身の労働者とその家族だ。

 政府は日本在留の南米日系人は昨年末時点で計37万人程度と推定。自費で帰国した人も4万~5万人程度いるとみられ、6~7人に1人が帰国する計算だ。日系人の雇用や生活環境が厳しい実情が浮かび上がった。

 帰国支援制度は鳩山政権による予算見直しで2009年度限りで終了する見通し。支援団体からは「事業を続けてほしい」との声が上がっており、政府の対応が問われそうだ。

 同制度は09年3月末までに入国し働いていた人が対象。帰国を望む労働者本人に30万円、扶養家族には1人当たり20万円を支給。厚労省によると、4月に1095人だった申請数は6月に3035人へ増加。9月は2123人、10月は1723人だった。

 都道府県別で申請者が最も多いのは愛知県の4485人で静岡県の3486人、三重県の1241人と続く。自動車など製造業の工場が集まる地域が多い。

 このほか、中部地方の各県では、岐阜が861人、長野が1041人、滋賀が1035人、福井が76人となっている。国籍別では、ブラジルが1万4894人と大半を占めており、ペルーが600人と続く。

 【帰国支援制度】仕事を失った日系人向けの支援策の一つ。職がなく帰国を希望する労働者本人や扶養家族に一定額を支給するほか、雇用保険の受給日数が30日以上残っている人には10万円、60日以上は20万円を上積みする。日系人がこの制度を利用して帰国すると、3年程度は就労を目的とした再入国ができなくなる。