2009/10/24
政府が23日発表した緊急雇用対策は、昨年末の「派遣村」のような切迫した事態を防ごうと策定を急いだ。さらに新たな予算投入もなく、前政権の策を塗り替えた“苦肉の案”との印象が強い。政府は来年の通常国会に提出予定の第2次補正予算案や2010年度予算案で、新たに予算を付け本格対策を打ち出す姿勢だ。
新たな雇用を生み出す目玉政策の1つは、人手不足の介護分野で失業者を雇い入れていく試みだ。介護施設で働きながら介護福祉士やホームヘルパーの資格取得を支援し、正規雇用に結び付ける。資格取得中の賃金などは公金でまかなう方針。
農林水産や環境など今後の雇用拡大が期待できる分野でも、働きながらスキルアップを図る制度を導入する。
ただ、従業員を休職させる場合の手当を助成する「雇用調整助成金」の拡充なども含め、打ち出した策の大半は、麻生政権が策定した事業に手を加えた形。財源も、すでに積んである予算など1兆4700億円超のうち、残っている部分を活用する。しかも「どれだけ残っているか分からない」(内閣府)という。
11月下旬に東京や名古屋などのハローワークで雇用だけでなく住宅や生活支援の相談も受け付ける「ワンストップ・サービス」を試行するなど画期的な試みもある。しかし、年末まで時間が限られた中で、新たな予算を投入しない形での対策策定に、「苦労した」(細川律夫厚生労働副大臣)のが実情だ。
日本総合研究所の山田久主席研究員は「雇用調整助成金の拡充など、目先の雇用悪化を防ぐポイントは押さえている。だが、新政権が目指す中長期的な方向性という面ではメッセージ性に欠ける」と指摘している。
(吉田通夫)
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