2009/09/09
一品料理に彩りを添え、洋菓子に使われるレモン。あのみずみずしさはどのような過程で生み出されるのだろうか。「皮も食べられるレモン」として売り出し、完全無農薬で栽培している河合果樹園(豊橋市中原町)の仕事を手伝わせてもらった。
真夏の日差しが差し込む午後二時ごろ。ミカンの収穫を終えた代表の河合浩樹さん(47)とともに温室へ。足を踏み入れた瞬間に「暑い」。温度計は三三度を少し超えたところを指していた。河合さんは「これは涼しい方。くらくらすることだってあるから」。
まず行うのはレモンの生育状況の確認。木が植えられた鉢を回り、青く膨らんだ実に触れていく。実の硬さによって水分が足りているか分かるという。
突然、河合さんが立ち止まり、「このへんに虫がいるの、分かります?」。周囲に目を凝らしても分からない。すると、くるんだ葉に隠れた一センチほどの葉巻虫を手に捕った。新葉を食い荒らす害虫で、見つけると駆除していく。
初めに与えられた仕事は二、三週間ごとに行う草むしり。除草剤が使われていないため、あちこちに生い茂っていた。枝にぶつかり実を傷つけないように、身をかがめるなどしながら、温室をくまなく回る。張り巡らせているクモの巣を払いながらのため、一棟千平方メートルもある温室での作業は思うように進まない。無風状況の中で約三十分間作業すると、全身汗まみれに。五百ミリリットル入りの清涼飲料水をあっという間に飲み干した。
次はホースを使った水まき。簡単そうだが、鉢の土が外へ飛び出さないよう注意しながら、まんべんなく水をやるのは意外と難しい。レモンの成長状況に合わせ、水量を微妙に変える必要だってある。河合さんは「『水やり三年』という言葉もあります」と笑う。手間をかけながら無農薬で育てる大変さと、農業の奥深さを肌で感じた。(安田功)
【メモ】河合果樹園は計1900平方メートルの温室で、秋から春にかけて年間4・5トンを出荷する。価格は通常のレモンより高い1個150~200円程度。農家になるため特別な資格は必要ないが、無農薬栽培の場合は、害虫から実を守る昆虫などに関する知識が必要という。年収は一般的には数百万円。
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