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【福井】大学生の戦線に変調の兆し “超売り手市場”も秋まで?

2008/09/07

就職最新事情(上)

 景気後退が鮮明化する中で、売り手市場が続いた県内大学生の就職戦線に変調の兆しが見え始めた。大学生は、四年生の就職活動が大詰めを迎え、間もなく三年生の活動がスタートする。最前線の現場で、今後の見通しを探った。 (尾嶋隆宏)

■今春決定率は最高

 「今年の四年生はいいですよ」。福井大の青山伝治就職支援室長はにこやかに話す。一般企業への就職一本に絞ってきた学生なら、八月末で「90-95%は内定を得ている」という。大学生の就職戦線は、今年も学生有利のまま終盤を迎えようとしている。

 この数年間で「就職氷河期」は死語になった。福井大に届く求人件数は三千件に膨らみ、四年前の倍になっている。今春卒業生の同大の就職決定率は98・2%と過去最高だった。県内の他大学でも状況は同じだ。

 福井労働局がまとめた今春卒の学生への平均求人倍率は、34・95倍と驚異的な高さだった。景気拡大に伴う人手不足と、学生数の減少傾向が重なり、「超売り手市場」が形成されていた。

■ピークは過ぎた…

 では、秋過ぎから始まる三年生の就職活動はどうなるのか。大学の就職責任者は「ピークを打った」と口をそろえる。

 県立大に届く求人件数は七月末で約千七百件と、昨年同期に比べ25%減っている。就職・生活支援課の穴吹憲男課長は「超売り手市場だったのが、少し解消に向かうのでは」と今後の動向を注視する。

 来春卒の大学生六十人を確保したセーレン(福井市)も「(次期の大学生採用計画は)未定だが、減らす方向」だと言う。

 企業経営は、米国のサブプライムローン問題や原油高で陰りの時代に入った。「今年の四年生のようにはいかない」(青山室長)との見方が広まっている。

【県内の中小企業 採用意欲は旺盛】
■視点変えた選択を

 大学生はここ数年間で、大企業、有名企業志向が顕著になった。そのあおりを食ったのが県内の中小企業だ。福井大も、県立大も「いい学生がいたらいつでも紹介してほしい」と県内中小企業から頼まれており、大学生への採用意欲は旺盛。

 大企業や有名企業にこだわらず、地元の優良企業を探してみることが「内定獲得」の近道といえそうだ。