2009/08/29
7月の完全失業率が5・7%と過去最悪を更新した背景には、製造業を中心に人件費などのコスト削減が続いていることがある。景気は最悪期を脱したが自動車や電機業界の生産水準はまだ低く、個人消費も弱い。各業界はリストラに頼らざるを得ず、厳しい雇用環境が続きそうだ。
ホンダは昨年末から約4500人の非正規従業員を削減し、今年4月末でゼロにした。エコカー減税の効果などで生産が回復しつつあるとはいえ、増員するほどではなく、休日出勤で対応できる水準としている。トヨタ自動車など、ほかのメーカーもそれぞれ数千人規模で非正規従業員を減員したが、いずれも「人員は適正」として増員の計画はない。
一方、三菱自動車は9月以降、名古屋製作所(愛知県岡崎市)などで650人の期間従業員を新たに雇用する計画。だが以前に雇用していた3300人に比べれば約5分の1にとどまり、慎重姿勢を崩していない。
電機メーカーにも増員の動きはない。希望退職制度で3月に約1000人の正社員を削減した三洋電機は、来月7日から追加の希望退職者を募集。数百人が応募するとみられる。
今年3月末までに4500人の非正規従業員を削減した東芝も、本年度に約3900人を追加削減する計画。今月にはコスト削減目標を1割上乗せすることを表明している。
消費不振で苦戦が続く三越伊勢丹ホールディングス(HD)も、本年度中に傘下の三越で希望退職を募る方向で検討している。
野村証券金融経済研究所の岡崎康平エコノミストは「企業の雇用過剰感は過去最大の水準。もう1度、景気の調整局面があるとの見方が強く、雇用を増やすリスクは取れないだろう」として、失業率は当面、上昇する可能性が高いとみている。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから