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やってみました 記者たちの職業体験ルポ 図書館司書

2008/09/03

目配り気配り“本のプロ”

 蔵書数三十八万冊を誇る碧南市民図書館の本館は、記者にとっても取材の下調べに欠かせない存在。そんな図書館を支える司書の仕事は-。
 カウンター席では、貸し出しや汚損防止のため透明カバーで全体をくるむ作業がされていた。返却本を棚へと戻しに行き、事務室では新しく購入する図書を検討する。

 「利用者の質問に応じて資料を紹介するのも重要なサービスの一つです」と話すのは、一階のレファレンスコーナーで待機する大橋幹広さん(39)。「何か面白い本はないか」「動物を真上から撮った写真が見たい」など多様な問い掛けが一カ月に四、五百件あるという。

 「学校のリポート作成で熱中症を調べたい」との問い合わせがきた-という想定で、記者もレファレンスに挑戦してみた。

 まずは「家庭の医学」を手に取った。熱中症の説明は十数行だけ。司書用コンピューターで「熱中症」の検索をかける。一冊ヒットするが、貸し出し中だ。

 「棚で探しましょう」と大橋さん。図書館資料の分類で医学関係は「49」。同じ数字の本がずらりと並ぶ中、「熱中症患者は救急車で運ばれますよね」とヒントをくれた。数冊を手に取り、目次に目を通して症状や処置を詳しく紹介した「救急シミュレーション」「季節の変化と子どもの病気」の二冊をようやく見つけた。

 「レファレンスは経験第一。事例は記録して情報を共有したり、棚整理の時に本をチェックしたりといつも気を配ります」と大橋さん。利用者をサポートする“本のプロ”の気概を、一利用者として心強く思った。(坂口千夏)

 【メモ】図書館司書は図書館法で定められた資格。取得には、大学の司書講座を受講したり、在学中に単位として履修する方法がある。碧南市の場合、司書資格があっても一般事務職として入庁するため、必ずしも配属が図書館とは限らない。初任給は大卒で19万6680円(2006年度)。

「なんでもきいて!」とPRしたレファレンスコーナーで検索作業をする大橋さん=碧南市の碧南市民図書館で
「なんでもきいて!」とPRしたレファレンスコーナーで検索作業をする大橋さん=碧南市の碧南市民図書館で