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【流儀あり】サービスに限りなし 大垣共立銀・土屋嶢頭取

2009/08/06

 13年前、創立100周年で行員の声を聞いていってね。「大垣共立銀行という名前を変えてください」ってのが一番多かった。店舗出す時に「大垣ってどこの銀行」って言われたりな。

 でも(同じ岐阜県内の)西濃運輸にしてもイビデンにしても、地域の名前。それでも全国ネットになる。何も大垣共立の名前を恥じることはないだろう。それより先にやることがある。金融サービス業にどうやって変わっていくか。名前変えればイメージ変わるなら、いくらでもやる。

 以前はほかの銀行と同じサービスを提供して、固定客を中心に仕事をしていればいいと思ってたんだろう。(全国初の試みとなった)ATMの365日稼働から、大垣共立銀行の転換が始まったような気がするね。

 週休2日になれば土曜、日曜だってお金が動く。だったら休日だって(ATMを)やる必要がある。誰にでも分かりやすいサービスじゃなきゃ。土日休日に出勤する人がいるからコストはかかるけど、信頼が強まるならやっていこうと。

 もちろん(他行に)追随される。だったらまた知恵を出していくのが大事だと思う。ここまできたか、じゃあ次はこうしようって。(スロットやルーレット付きなどのように)来て楽しくなるATMとか、触って楽しくなるATMとか。ATM一つとったって、いくらでも頭の使い方はある。

 われわれにとって、新しい商品の開発は一つの“ものづくり”。これが一つの醍醐味(だいごみ)だろうな。サービス業でありながら製造業というか。「(新商品を開発して)これでどうですか、お客さん」ってね。

 サービス業である限り、お客さんがどう評価してくれるかが大事。(2005年に)ダイヤモンド誌で(地元預金者が支持する銀行として)「つきあいたい銀行」第1位になったのは最高だった。達成感で燃え尽き症候群みたいになっちゃって。2、3日仕事する気なくなった。これを維持するにはどうしたらいいかなと。プレッシャーは大きいね。

 新聞に(文字だけの)全面広告を打つのが究極の夢。「これ以上どんなサービスができますか 大垣共立銀行」ってね。多分これはかなわないだろうな。次から次へとやらなくちゃいけないから。

 【つちや・たかし】 70年、慶応大法学部卒。富士銀行(現みずほ銀行)を経て、77年、大垣共立銀行。常務、専務、副頭取を経て93年から現職。ATMの365日稼働や離婚専用ローンなど全国初の取り組みを次々に打ち出している。62歳。岐阜県出身。