2009/07/28
中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は28日、2009年度の地域別最低賃金の改定額の「目安」を決めた。景気低迷による企業業績の悪化に配慮し、最低賃金が生活保護の給付水準を上回っている愛知や岐阜、三重など35県は「現行水準の維持を基本」として、引き上げの見送りを提案した。
一方、最低賃金が生活保護水準を下回る「逆転」が起きている神奈川県など12都道府県では2~4年以内での逆転解消を求めた。この結果09年度改定後の全国加重平均は前年度より7~9円増の時給710~712円となる見通しで、引き上げ幅は前年度(16円増)を下回った。
08年秋以降の不況の深刻化で、輸出企業や中小企業の経営環境が大幅に悪化。5月の完全失業率が5・2%と過去最悪の水準に迫っており、賃金の底上げより雇用の維持を優先した形となった。
引き上げ見送りの35県は、最低賃金の議論に影響を与える小規模事業所の09年6月の賃金が前年同月比でマイナスだったことなどを考慮した。ただ地方の審議会での協議で、小幅引き上げに踏み切る可能性もある。
残る12都道府県のうち、宮城、埼玉、京都、大阪、兵庫、広島の6府県は2年以内に逆転を解消するよう要請し、昨年の目安で示した目標年を1年延ばした。秋田県と千葉県は2年以内、青森県は3年以内に解消するように要請。また東京都と神奈川県は2年程度、北海道は4年程度で解消するとした昨年度の目安方針を堅持した。
小委員会では、労働者側が賃金底上げや早期の逆転解消を要求。経営者側が引き上げに強く反発して難航、28日早朝まで議論を続けた。29日開催予定の中央最低賃金審議会で、改定額の「目安」を答申。地方の審議会で協議し、労働局長が新しい地域別最低賃金を決める。
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