2009/07/16
「創造」でしょうねえ。人生は創造です。(岐阜県関ケ原町にある)工場の敷地内に(石彫の)作品をいくつも置いているのは、創造のヒントとして。
フランス人の彫刻家だとか、関ケ原にやって来て作る気になって、という人の作品ばかり。上等だとか、コレクションとかではなく、人間としての触れ合い。関ケ原が大好きで来てくれた人は僕との縁がありますから。
会社を「人間ひろば」と定義してます。社員にとって会社は給料を稼ぐ場所というより、多くの時間を過ごす人生空間。自己実現の場なんです。(彫刻が点在する)自慢の風景の中で会社に対する誇りとかが出てくると、生産も不良がなくなっていいものができ、会社の質も上がってくるんじゃないかと。
最初(に工場の環境を変え始めた時)は農園風のモノづくりとか、そんなイメージでした。その後、工場公園みたいなところの中で仕事ができないかな、と。今は“関ケ原キャンパス”。日ごろの成果や感想を発表する場を設けて、一人一人の社員が主役になれる場をつくったりしている。
プラザ合意の後(の円高不況で)、仕事が半減して赤字が3期連続になるという時に、どういう会社にしようかとみんなで話し合ったのが始まりでした。社員から“ご指導”を受けて。「給料が安くても、トップが社員に頭を下げてくとか、社員に対するマナーのある会社は伸びるんじゃないか」とか、「先代は良かったけど、おまえはちょっと礼儀がないぞ」と。そこから“人間主義”というか、明るく楽しい会社という理念が生まれたんです。
忙しくなってみんな(昼夜2交代制の)2直で、みんな徹夜で、というよりも、みんなで辛抱したり、みんなで頑張ったり、そういうことが“経営の風景”になるような会社の方が、自分としてはほっとする。工業製品の宮大工みたいな感じで、よそにはできない製品を造ろうと、みんなで腕を磨いていく。
社員の幸せが経営の目的だなんていうと、以前は「何をとろいことを、夢みたいな」というふうでしたけど、このごろは「そういうことが大事では」とみんな気付いてる。世の中変わってきた。うちのやってきたことは、とっても大事な財産です。
【やばし・しょうざぶろう】 早稲田大社会科学部卒。68年関ケ原製作所入社。78年に社長、06年に会長に就任。人間味を大切にし、敷地内に石彫刻が点在するユニークな経営が注目を集める。主力製品は、コマツ向けの建設機械用油圧シリンダーや船舶用クレーンなど。70歳。岐阜県大垣市出身。
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