2008/08/31
名古屋市立大は、結婚や出産で現場から離れた元薬剤師の女性らを教育するプログラムを年内にも始める。現場復帰を促すとともに、現役の薬剤師も対象に知識の底上げを図る。慢性病患者らへの効果的な服薬指導を担ってもらえば不足する医師の負担軽減が期待でき、全国でも例のない取り組みという。
薬剤師の資格を持つ人のうち6%が現在、現場を離れているとされ、子育てなどで退いた女性有資格者の現場復帰と、各薬剤師に任されている最新薬学技術や知識の底上げが課題となっている。
名市大は、同じ公立大で薬学部のある岐阜薬科大、静岡県立大と協力し、既卒の薬剤師の再教育を目的にしたセンターを構内に建設中。最新の病態生理や薬物治療法の「講義」(40時間)と、病院での業務や実技などの「実習」(24時間)を組み合わせたプログラムを実施する。
講義はセンター以外でも、テレビ電話会議システムを利用して各大学や協力病院、へき地に医師や看護師を派遣している愛知県がんセンター愛知病院(同県岡崎市)と下呂温泉病院(岐阜県下呂市)で受講できる。修了者には独自の修了証を発行し、求職活動に役立てられるようにする。
講師には、東海地区の指導的な病院の薬剤師、薬剤師会関係者も参加予定。センターは地域医療に関する情報集約基地とし、各地の薬剤師や看護師らからメールなどで質問を受け、指導する。
プログラムを発案した藤井聡名市大教授は「医師不足対策として医学部が増員されるが、医師が育つには10年かかる。薬剤師を再教育して活用すれば地域医療にとって即効性がある」と期待している。
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