2009/07/13
麻生太郎首相は13日、衆院解散・総選挙について、21日にも解散、8月18日公示、30日投開票の日程を決断した。首相は7月13日昼、首相官邸で細田博之自民党幹事長ら党役員会メンバーや、公明党の太田昭宏代表と相次いで会談。こうした方針を示し、両党も了承した。
会談で首相は東京都議選での大敗によって自民、公明両党内が8月30日の総選挙を求める声が大勢になっていることを受け、「21日の週に解散したい」と提案。与党側も受け入れた。ただ総選挙を先送りしても党内の麻生降ろしはくすぶり続けるとみられる。
首相は一時、7月14日解散の可能性を模索。12日夜には自民党執行部、各派領袖・幹部にこうした意向を伝えた。首相としては都議選大敗で自民党内で自身に対する退陣を求める声が強まっていることや、民主党が13日に衆院に内閣不信任決議案を提出することを踏まえ、早期解散で対抗したい考えだった。
しかし、13日になって、早期解散論に反対する声がさらに拡大。大島理森国対委員長は官邸での首相との協議に先立ち、記者団に対し、「私の思いを率直に申し上げたい」と述べ、首相が早期解散を求めた場合には強く反対する考えを強調した。
また、自民党幹部の1人は同日朝、「(早期解散は)ない。選挙はできるだけ遅くだ」と断言。首相に近い閣僚の1人も「(早期解散を)何としても止めなければならない。今、解散したら自民党の議席は100を切る」と述べた。
公明党の山口那津男政調会長は13日午前の民放のテレビ番組で、解散詔書決定の署名に関し「斉藤鉄夫環境相だけの判断に任せるような事態にはならない」と発言するなど、首相の早期解散の意向は通じない情勢になっていた。
<解説>与党反発受け早期解散断念
麻生太郎首相が13日、8月30日投開票の総選挙日程を決断したのは、自民、公明両党の早期解散に対する猛烈な反対を受けた結果だった。首相としては早期解散の方針を貫こうとすれば、政権を追われかねないことを危惧(きぐ)した。
自民、公明両党内では、以前から首相の早期解散論に反対する声が強まっていたが、14日にも衆院解散に踏み切ろうとする首相の動きが12日夜から急速に拡大。東京都議選の大敗を受け、「今解散すれば、総選挙は大惨敗する」(党幹部)として、主要各派はこぞって解散先送りを求めたほか、首相の側近や官邸メンバーからも「冷静に判断すべきだ」と、首相をいさめる声が続出していた。
首相としては「麻生降ろし」を封じ込めるため、早期解散を模索していたが、逆に早期解散を狙えば身内からも見放され、「麻生降ろし」が加速する構図に追い込まれていた。早期解散に踏み切ろうとした場合、公明党出身の閣僚が拒否する可能性もあるなど、政権の枠組みさえ崩壊する危険性もみられた。
こうした中で首相は解散を先送りしたが、麻生降ろしが消えることはない。反麻生勢力は解散までの時間を使い麻生首相退陣にさらに動く可能性もある。
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