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【社会】非正規社員“移籍”宙に 日通と統合「JPEX」

2009/07/09

 郵便事業会社と日本通運が宅配事業を統合するために発足した子会社のJPエクスプレス(JPEX)に8月以降、事業会社から移る予定だった非正規社員の雇用契約変更手続きが宙に浮いていることが分かった。「かんぽの宿」売却問題をめぐる日本郵政への総務省の業務改善命令などの影響で、両社の統合事業スタートのめどが立たないためだ。いったん、同事業会社が雇い止めを通告しながら暫定的に雇用延長措置を取る異例の事態になっている。

 事業会社によると、同社で小包を扱う「ゆうパック事業」はJPEXに事業譲渡し、10月から日本通運と共同で宅配サービスを始める計画で、8月から事業会社でゆうパック事業に携わっていた時給制期間雇用社員を移して採用する予定だった。事業会社は6月末、移行後の採用にも触れた7月末での雇い止めの通知書を該当する社員らに出した。

 ところが、日本郵政グループへの一連の業務改善命令の中で、総務省からJPEXの認可条件として5項目の検討課題の報告が求められ、当初の統合日程に遅れが生じた。事業認可申請も出せない状態で、8月からの統合事業スタートは事実上不可能になっている。

 このため通知を受けた非正規社員の身分は8月以降、JPEXへ移るまで「空白期間」が生じることになり、事業会社は雇用延長する旨を文書で説明している。

 事業会社は「こちらの都合で起きたこと。現行と同じ労働条件で雇用期間の延長をする。それを盛り込んだ契約書面についても考えている」と話すが、雇い止め通知書を受けた愛知県内の支店の非正規社員は「支店長から移行が決まるまで、そのまま仕事をしてもいいと言われたが、身分が不安定だ。いつ契約できるのか」と不信感も抱いている。

 JPEXは全国で約8500人の契約社員の確保を予定しているが、事業会社からの移行者は現在選考中で最終的な人数は未確定だという。