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やってみました 記者たちの職業体験ルポ ボクシングジム

2009/06/11

個々に合う練習設定

 健康づくりやメタボ対策にと、習う人が増えているというボクシング。とはいえ「格闘技はちょっと敷居が高い」と感じる人も多いだろう。ジムではボクシングの素人にどんな指導をしているのか、体験させてもらった。
 入門したのは、蒲郡市五井町の山下ボクシングジム。会長の山下史晃さん(38)は、二十一歳の時にプロテストに合格したが、けがでボクサーの道は断念。トレーナーの修業を積み、二年前に念願のジムを開設した。

 「ボクシングを始めて今までの自分と変わった、と思ってもらえるジムにしたい」と熱い思いを語る。

 ジムには、小学生から大人まで三十人前後が在籍。フィットネス感覚の人から、試合を目指す選手まで目的はさまざまで、山下さんが個々に合った練習メニューを組んでいく。

 練習は、試合の一ラウンドを想定し三分単位で進む。まず渡されたのはロープ。いわゆる縄跳びだ。隣の高校生が「スタタン、スタタン」とリズミカルに跳ぶのに対し、こちらは日ごろの運動不足がたたり、三分間でヘトヘト。早くもひざがカクカクしてきた。

 次は左ジャブ。左足を前にした半身の構えから、軽く握った拳を繰り出す。「右のガードを忘れないで」。しっかりと構えると鏡に映った自分がボクサーらしく見えてくる。

 右ストレートを加えたワンツーやステップの練習に続き、いよいよグローブをつけてミット打ち。思い切り打ったパンチがミットに「バチン」と音を立てて入るのは、何とも言えない快感だ。受ける山下さんも「ナイスパンチ」と上手に気分を乗せてくれる。

 休憩を含め、三十分弱の練習だったが、既に汗びっしょり。「やり遂げたという最高の満足感が得られるのがボクシング」という山下さんの言葉に素直にうなずけた。(中山聡幸)

 【メモ】ボクシングジムは、選手や指導の経験者がプロ・アマの団体に加盟して開くのが一般的。収入は、基本的に練習生の会費。山下ジムの場合は、年齢や性別に応じて、月会費5000-9000円(入会金別)。日本プロボクシング協会加盟のジムの場合、プロ選手の試合の興行などによる収入もある。


練習生のミット打ちの相手をする山下さん=蒲郡市五井町の山下ボクシングジムで

練習生のミット打ちの相手をする山下さん=蒲郡市五井町の山下ボクシングジムで
練習生のミット打ちの相手をする山下さん=蒲郡市五井町の山下ボクシングジムで