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【富山】減少続く教員志願者 手紙作戦で心をつかめ

2009/05/23

県教委、採用増へ対策

 県内の公立学校の教員採用試験でこの数年、志願者の減少傾向が続いている。県教委は、五月末まで受け付けている二〇一〇年度採用の募集に合わせ、教員の仕事の魅力を紹介するパンフレットと県教委委員長名の手紙を初めて作製し、学生の心をつかむ作戦に出た。

 昨年実施した二〇〇九年度採用の志願者は、前年度より六十五人減って千九十六人。二〇〇〇年度採用と比べると五百五十五人の減少だ。

 県教委によると、団塊世代の定年退職のピークを早く迎える東京都が二、三年前から二千人規模で採用するなど、県出身者が大都市部に流れているという。また昨年までの好景気で、民間企業に就職した学生が多かったことなども要因に挙げる。

 県内の教員の退職のピークは約十年後で、これを見据え、県教委は採用数を増やすため対策に乗り出した。

 手紙は「富山県の学校教育の担い手として活躍していただきたい」などと勧誘。教員養成系の大学に通う県出身の四年生の実家や県内での教育実習生に送付。先輩教師のメッセージが載ったパンフレットも作製し、募集要項と一緒に渡したり、高校の同窓会などで配ったりする。

 「手紙作戦」は、医師不足に悩む県が昨年から、石井隆一知事名で県出身の医学生向けに県内の医療機関へ就職要請したのに続く。県は「一緒に送ったアンケートの返信もあり、一定の効果はあった」とし、今年も新入生に送る予定という。

 県教委は「古いやり方かもしれないが、やりがいがある仕事だということを学生に伝えたい」と、手紙の効果に期待を込めている。 (渡辺ゆり)