2009/05/22
飯田市の小中学校で英語を母語とする外国人講師(ELT)が補助的に英語を教える「外国人講師招聘(しょうへい)事業」の見直しとELTの待遇改善などを市民団体が求めていた問題で、市教育委員会学校教育課は、事業のあり方を見直し、本年度中にこれまでなかった就業規則の策定や交通費の支給などを決めた。
同課によると、明文化された就業規則はなく、勤務態度や日常生活での注意事項を定めた「ELT受け入れの基本方針」という文書があるだけ。それも「郷に入っては郷に従え」など数カ所しか英訳されておらず、市教委からELTのあっせんを依頼された男性やその妻が口頭で通訳して伝えるだけだった。
しかも、労災規定がないのに「不慮の事故の場合は解雇する」と規定するなど問題がある表現も。ELTの実際の身分は市の非常勤特別職なのに「臨時職員」と表記され、公共交通機関で通勤しても、交通費が支給されていなかったという。
同事業が開始されたのは1989年。市内の学習塾経営の男性と委託契約を結んでELTを招致してきたが、10年ほど前からは「市教委の事情で」、この男性に日常生活の世話に対する報償費を支払うことで、事実上丸投げ状態だった。
報償費は毎年700万円前後。市教委は、予算請求時に報償費の積算根拠としてELTの帰国費用などを見積もり、昨年も帰国費用として54万円を計上したが、実際にELTには支払われていない。
男性は「数年前に例外的に優秀な講師に帰国費用を支払ったことはあるが、渡航費を支払うとは面接でELTには言っていないし、市教委にもそう伝えてある」と話している。
市教委は帰国費用が報償費から支払われていないことを承知しており、「あまりにずさんと言われても仕方がない」とし、今後、報償費支出を改め、事業のあり方そのものを見直していく方針だ。
(高橋徹志)
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