2009/05/14
金沢・小松・七尾 初の試み
派遣切りや住宅ローンなどで貧困に悩む人のための「生活再建相談会」が十三日、金沢、小松、七尾の県内三カ所で開かれた。主催者は、司法書士と多重債務問題に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)が手を組んだ「貧困対策会議」。会場は三カ所とも、求職中の人たちで込み合うハローワークの一角。「相談が必要な人が集まるところに出向く」という初の試みだった。(増田育子、谷岡聖史、増井のぞみ)
「ハローワークで相談に応じるのはおそらく全国初。派遣切りにあった人に対応したかった」と、対策会議の代表幹事で司法書士の喜成清重さん。
ハローワークに目を付けたのは、仕事を探す人が急増しているためだ。ハローワーク金沢には毎日二千人以上が訪れる。その中には、生活に苦しむ人も少なくない。野坂ときこさん(司法書士)は「職探しに来た人、生活に困っている人の生の声を聞こうと考えた」と狙いを説明。中巳出崇さん(同)は「相談したい人が多くいる“現場”で、少しでも力になりたかった」と話す。
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【左】相談者の受け付けをする代表幹事の喜成清重さん=七尾市のハローワーク七尾で【右】真剣な表情で相談者(手前)の話に耳を傾ける司法書士ら=小松市のハローワーク小松で
三会場とも、ハローワークの一角やすぐそばにブースを設けたりテーブルを並べた。相談に訪れたのは計二十五人だった。
金沢の会場に立ち寄った同市の男性(33)は、当面の生活費の工面についてアドバイスを求めた。「職探しや生活費、雇用保険などいろんな問題が絡んでいるが、同じ場所で相談できたのでたらい回しされずに済んだ」
派遣切りにあったという同市の男性(26)は「相談会はハローワークで知り合った人に教えてもらった。相談しやすかったです」と話した。
ハローワーク七尾では、派遣の仕事を辞めてヘルパーの資格を取ろうとしている三十代女性が、雇用保険を延長できないか相談。対応した市職員が延長はできないことを説明すると、女性は「仕事をすると学校へ行けないし…」とがっかりした様子だった。
ハローワーク小松でも「新聞記事を見ました」と、人が次々と訪れた。前立腺がんを患う五十代前半の男性はリフト作業の運転手の仕事でけがをし、二カ月入院。職を失った。「親身に話を聞いてくれる専門家がいてくれて、落ち着いた」と喜んでいた。
住宅ローンなどの借金返済に行き詰まっている五十代後半の男性も司法書士らに債務整理についての説明を受け、「参考になりました」と話していた。
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ハローワーク側にとっても初の試みだった。金沢の堀田政信所長は「ハローワークを訪れる人の問題は多重債務など多岐にわたる。相談会のメリットは大きい」と手応えを感じた様子。小松の森田正毅所長は「専門家が相談会を開いてくれることはありがたい。継続してもらえたら」と今後に期待した。
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