2009/05/01
中小企業 空き時間を活用
長引く不況で競争力が求められる時代。中小企業にとって、将来を担う新入社員をいち早く一人前の社会人に育てることが重要課題になってきた。今春の新入社員向けの研修では、「厳しく」「廉価で」と、従来の研修とは変化が起きている。
愛知県岡崎市の市営宿泊施設で4月下旬、建設機械の製造・販売会社「大和機工」(同県大府市)とグループ会社の新入社員研修が行われた。参加した新入社員は14人。管理者養成学校(東京都)の講師から1泊2日で“訓練”を受けた。
「もっと声を出せ」。必死にラジオ体操をする新入社員に男性講師が鋭い視線を向ける。集合は4秒以内。笑顔とあいさつを欠かさないことを徹底的にたたき込まれる。五人一組で行う声出しは、時間以内に全員がそろって成功するまで何度も「やり直し」が指示された。
「正直、帰りたいです」と話すのは、新入社員の一人、谷祐太朗さん(23)。「でも、作業中には、大きな声も必要。あいさつだけでもできれば、仕事に好影響があるかも」と何とか訓練をこなした。
管理者養成学校によると、採用人数減や人件費削減などの影響で、新入社員研修が「安く、近く、短い」ものにシフト。特に今年は厳しい内容の研修を求める企業が増えたという。
企業向け研修を行う名南経営(名古屋市)では、新入社員研修を受ける人数が減少したが、実施件数は増加。「教育費は将来への投資。休業で空いた時間の活用になり、不況でも積極的な利用が多い」と説明する。
大和機工の細川俊通管理部長(62)は「競争社会でほかに差をつけるための投資」と厳しい研修を求めた理由を話す。同社も今回の不況で売り上げが1割以上落ち込むなど大きなダメージを受けた。教育費削減を検討したこともあったが「仕事は人に支えられている。新人教育費はカットできない」。研修から戻った新入社員を見て「行く前よりも生き生きとたくましく見える」と顔をほころばせた。
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