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【愛知】新入社員癒やす駅の“保健室” JR名古屋駅・旅行者援護所

2009/04/30

 財団法人・鉄道弘済会が、名古屋市中村区のJR名古屋駅太閤通口に設ける旅行者援護所。4月に入って、新入社員が駆け込む姿が目立っている。電車での通勤時に気分が悪くなったり、体調を崩したり…。交代で常駐して対応する3人の看護師が、時には悩み相談の役目も担う。駅構内の“保健室”が、まだ社会へ出たばかりの若者たちの背中を押している。 

 4月初めの朝、ドアをたたく音がした。満員電車に揺られて「人に酔った」と、もうろうとした状態の若い女性の新入社員だった。「会社へ行きたくない」と、過呼吸で運び込まれる女性もいる。

 午前9時-午後5時までの開設時間に、1日に多くて5、6人が訪れる。所内にあるのは、2台の休憩用ベッドとソファ。1時間ばかり横になって、元気を取り戻し、礼を言っていく若者もいるが、看護師が連絡し、会社から上司が迎えに来たケースも。

 「親に来てもらうこともありますね」と、今夏で常駐3年目を迎える看護師の高森弘子さん(52)。「とにかく今の若い子は、ストレスに弱い。話を聞いてあげたら、元気になる子もいますね」と話す。

 かつては全国にあったが、現在、旅行者援護所がある駅は東京、名古屋、京都だけ。同会が、公益事業の旅行者援護事業として運営する。名古屋駅では昨年4月だけで約100人が利用。うち新入社員を含む若者は2割で、5月の連休明けに、さらに増える傾向にあるという。

 高森さんは「彼らにとってはここが、学校の保健室という感覚。未熟なところもあるが、自分の娘と同じ年代なので、母親みたいな気持ちで接します。仕事は、お金には代えられない充実感がありますから」と迎え入れている。

 (黒谷正人)

4月以降は新入社員がよく訪れると話す高森さん=JR名古屋駅で
4月以降は新入社員がよく訪れると話す高森さん=JR名古屋駅で