中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【福井】契約中の解雇撤回を 派遣元相手に仮処分申請

2009/04/25

 解雇に合理的な理由がないとして、契約期間中に人材派遣会社(金沢市)から中途解雇された福井市と越前市の男性4人が24日、人材派遣会社に解雇の撤回と未払い賃金の支払いなどを求める仮処分を福井地裁に申し立てた。

 申し立てたのは福井市の43-59歳の男性3人と、越前市の56歳の男性。

 申立書によると、4人は福井市に営業所を置く人材派遣会社と期限のある雇用契約を結び、坂井市の化学薬品工場に2月27日までの5カ月-3年半派遣されていた。うち43歳の男性は2005年8月から1年3カ月間、業務請負なのに工場の正社員から指示を受ける「偽装請負」状態だった。

 4人は昨年11月に派遣会社との更新時期を迎え、1人は契約書を交わして1年間、3人は契約書がないまま工場での勤務を継続。だが、2月27日に工場と派遣会社の派遣契約が終了した。派遣会社は同日、3人に「減産による業績不振のため」と、理由書きされた雇用契約期間途中解除通知書を手渡した。

 4人は3月、加入する全労連県本部を通じて派遣会社と団体交渉をしたが、解雇は撤回されず、口頭で解雇通告された。代理人の海道宏実弁護士は「労働契約法では『やむを得ない事由がある場合』でなければ中途解雇できないとしている。今回の理由は工場側の理由であって、派遣会社はほかの派遣先を探すなどの方策が必要」としている。

 4人は3月の未払い賃金と、昨年12月から3カ月間の平均賃金相当額(15万-19万円)を11月まで支払うよう求めている。

 人材派遣会社は「申立書を見ていないのでコメントできない」としている。

◆「派遣切り」回避手尽くしたか
 派遣労働者を契約期間の中途で解除したり更新をしなかったりする「派遣切り」。今回の申し立ては、非正規労働者が法に基づき、雇用主側の解雇処分の是非について、司法の判断を求めている。

 福井労働局は県内でこの半年間に2000人以上の非正規労働者が職を失うと試算。製造業を中心に派遣切りが横行する中で、4人の解雇に至った「相当な事由」があったかどうかが争点になるはずだ。

 厚生労働省は3月末、派遣切りに歯止めをかけようと、派遣元と派遣先に課す指針を公布。派遣会社と派遣先の双方に、関連会社など別の勤務先をあっせんしたり、休業補償をしたりするよう求めている。ただし努力義務で法的強制力はない。

 4人が主張するように、派遣会社が1カ月前に予告をしていたと装う解雇通知書を手渡したり、別の派遣先を探したりしなかったとすれば問題だ。雇用者は労働者の悲痛な訴えに耳を傾けてほしい。

 (原田晃成)

「人材派遣会社との雇用関係は続いている」と主張する弁護士(右端)ら=福井市の福井弁護士会で
「人材派遣会社との雇用関係は続いている」と主張する弁護士(右端)ら=福井市の福井弁護士会で