2009/04/22
授産施設が自転車改良事業
仕事求め職員奔走 地元企業が新技術提供
不況で障害者の就労施設での仕事が少なくなる中、愛知県大府市横根町の通所授産施設東あけび苑が今月から、地元の自動車部品メーカー「型善」と提携し、自転車のタイヤをパンクしないように改良する「ノーパンクタイヤ」事業を始めた。仕事を求めて会社回りを繰り返した同苑の熱意に、開発したばかりの技術の普及を目指す型善が応えた形。市民からの依頼を待っている。
ノーパンクタイヤは、タイヤのチューブを取り除き、発泡性樹脂でできた芯材を詰める。樹脂の分だけ1台1.5キロほど重たくなるが、空気を入れないのでパンクの心配から解放される。東あけび苑では2人の障害者が職員とともに作業。1台1時間ほどで仕上げる。料金は自転車1台3,800円から。
同苑はこれまで、部品の箱詰めの仕事などを受け41人が作業していた。しかし秋以降、受注は6~7割減。仕事を増やそうと職員が年明けから市内の企業30社ほどを回っていた。
型善は7年前からパンクしないタイヤを開発しており、軽くて簡単な手作業ではめられるこの新タイプの特許を申請した。今春から本格的に全国で販売する計画を立てている。近藤駆米雄社長(62)は障害者の職場の実習を受けた経験もあり、「この作業なら障害者施設でもできる。多くの人が使って良さを確かめてくれれば、会社の新たな事業展開にもつながる」と原価で芯材を提供することに。
東あけび苑の池田直博施設長は「障害者は覚えるまで時間がかかるが、根気よく作業できる。“お客さん”との接点もあるこの仕事を大切にしていきたい」と話している。問い合わせは同苑=電0562(44)2522=へ。
県社会福祉協議会によると、同様の就労施設に1月に実施したアンケートで、回答のあった約80施設のうち8割近くが「仕事量、収益ともに減っている」としている。
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