2009/04/15
雇用危機が深刻化する中、安定産業といわれる原発が立地する嶺南地方と企業進出が少ない奥越地方で、有効求人倍率に3倍近い開きが生じている。全国比では失業者が少ないとされる県内だが、地域間格差の拡大を恐れる行政当局は対応に頭を悩ませている。
福井労働局が発表した2月のハローワークごとの有効求人倍率で、最高の敦賀(1・16倍)と最低の大野(0・40倍)では2・9倍の差がついた。
ハローワーク大野によると、800人台で推移していた求職者数が昨年12月から今年1月にかけて一気に300人も増加。大野市で最大の事業所だった大手コンデンサー製造会社が大量の人員削減を行った影響とみられる。
主たる産業のない奥越地方に求人は少なく、同ハローワークの奥村勝彦次長は「車で数十分の福井市には職があるが、高齢者や弱者は地域で求職せざるを得ない」と懸念する。
危機的状況を受け、大野市は国が事業費を全額負担する「地域雇用創造推進事業」を申請中。約1億円をかけて145人の雇用を生み出す計画に命運を託している。
一方、ハローワーク敦賀では、製造業などで求人が減少したものの、求職者数は秋冬を通して前年度比と同じ水準で推移。担当者は「原発が安定的に操業していることで飲食など他産業への波及効果も大きい」と話す。3月に開いた合同面接会には過去最多の企業が参加した。
嶺南地域の高水準に下支えされる形で、県内全体の2月の有効求人倍率(0・69倍)は全国で6番目の高さ。各地のハローワークを視察したある県議は「敦賀と他所では切迫感が全然違った」と指摘している。
(谷悠己)
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