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【社会】入社半月の新入社員に聞く 「早く戦力に」

2009/04/11

 厳しい雇用情勢が依然として続く中、新社会人が企業に入社してまもなく半月。好景気から一転、内定取り消しといった世界的な不況の波にもさらされた。「早く力に」。第一線デビューを前に研修の日々を送る彼らに、名古屋市内の飲食店で話を聞く機会を得た。ある新入社員たちが語った“就活”の思い出や、社会人としての意気込みは-。

 集まっていたのは、東海地方の自動車販売会社に4月、営業職として入社し、マナー研修などに取り組む7人だ。「(自動車を)売れない社員はいらない、ときっぱり言われました。早く戦力にならないと」と、その一人、笠井則宏さん(22)は語る。業界を取り巻く厳しさと、即戦力として寄せられる期待を感じている。

 内定切りのニュースが流れ始めた昨夏には、わが身を案じて電話で採用予定を確認。「世間では内定切りがあるそうですが、私は大丈夫ですか」「予定通り採用です」-。人事担当者とのやりとりに、安心した。

 内定取り消しは縁遠い出来事ではない。河合政(まさし)さん(23)には、入社予定だった建設会社から昨年8月、内定切りに遭った友だちがいた。その友人は別の会社に就職が決まり、この春から社会人として歩み出した。「自分たちはまだ恵まれている。けど未来は明るいんですかね」。不安ものぞく。

 「不況を実感しましたね」と語るのは、別の男性(22)。大学卒業まで、自動車部品の製造工場でアルバイトをしていた。その現場では、派遣社員など非正規雇用の外国人らが次々と契約解除されるのを見てきたからだ。

 不況というトンネルの出口はまだ先のよう。それでも、彼らからは明るく、前向きな言葉が次々に出た。一人が胸の社章を磨きながら「売りますよ」と力強く“決意表明”すれば、「おれが営業成績一番に」「いや、おれが」。今月半ばにはそれぞれの配属先が決まる。店を出ると誰ともなく口にした。「頑張ろうな」

 (川本光憲)