2009/04/01
厚生労働省の調査で、昨年10月から今年6月までに職を失ったか、失うことが決まっている非正規労働者が全国で19万2000人余に上ることが分かった。突出して多い3万2000人の失業が見込まれる愛知県では31日、再就職を目指す失業者らから将来への不安の声が漏れ、名古屋市内ではデモも行われた。
「検索しても製造業の求人が全くない」。派遣労働者として働いた経験を持つ男性(40)は同日、名古屋市中区の「キャリアアップハローワークあいち」で正社員として採用してくれる製造業を探していた。「他の職種でも経験や資格が優先される。結局は製造業に戻るしかないけど…」と肩を落とす。
在職中なのに仕事を探し始める人もいた。事務職派遣の契約が4月末まで残っている女性(29)は「子どもがおり、不安。同じような仕事が見つかればよいが」と言葉少なに、検索用のパソコン画面に向かっていた。
同市中村区の西柳公園周辺では同日夕、派遣労働者ら約170人が集会とデモを行った。参加した元派遣労働者の日系ブラジル人の男性(32)は「3年以上も働いたのに簡単に解雇された。派遣切りは社会全体の問題だ」と声を張り上げた。
「雇用が蒸発した」。2月現在の同県内の自動車関連製造業の求人数について、愛知労働局の中沖剛局長は、こう表現した。昨年2月に約4000人あった求人数は現在、300人足らず、減少率は92・9%にも上った。
愛知労働局は「解雇は2月に最悪期を迎えた。今後は、状況が好転することに期待するしかない」と話す。
偽装請負が問題となった2006年、製造現場では請負から派遣に業務形態をシフトするケースが相次いだ。労働者派遣法では、3年以上業務が継続した場合、派遣先企業に直接雇用の義務が生じる。同局は「派遣から再び請負へと業務形態がシフトすることもありうる」と指摘する。
◆派遣ユニオン「19万人より深刻」
厚生労働省が発表した非正規雇用の失職者は19万人を超え雇用情勢は厳しさを増すばかりだ。年度末を機に大量解雇や自殺者急増などが予想される“3月末危機”では、職と住居を同時に失う人が増えると懸念される。
非正規労働者などの労働組合「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は厚労省の調査について「全産業で19万人超という数字は実態を表していないのでは」と話し、もっと深刻だとの見方を示す。
同ユニオンの派遣切りホットラインで最多は、製造業の88件だったが、物流その他が83件、事務系59件と各産業への広がりが顕著だ。
関根書記長は「業界団体の試算では、製造業の派遣・請負だけで約40万人失職の可能性がある」と指摘する。
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