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【社会】“大量解雇の危機”目前 宿泊所の拡充進まず

2009/03/30

 多くの企業が決算期を迎え、期間従業員らの大量解雇が懸念される中、緊急一時宿泊施設(シェルター)や自立支援施設の増設が進んでいないことが分かった。既存の施設は慢性的に満室状態で、ホームレスが多い東京都と8政令市の入所率は、本紙の調べで9割近くに達している。“3月末危機”を目前に控え、労働者側は「動きの鈍い自治体に代わり、国が施設の準備を」と訴えている。

 ホームレス自立支援法に基づき、東京都と仙台、横浜、川崎、名古屋、京都、大阪、堺、北九州の8市が運営する施設は計29カ所。定員に対する入所率は平均87%で、昨年秋から入所者が増え続けている。

 非正規労働者の失業者が約2万4000人と全国最多の愛知県。名古屋市は1月中旬から元社員寮やアパートの協力を得て、市内5カ所で単身の生活保護受給者が敷金・礼金なしで住めるようにしている。現在、288室のうち約280室が利用されている。

 10カ所の施設がある東京都の入所率は92%(2月末)。大量解雇に備え、都は今月中旬から、23区内の宿泊施設で40人分の部屋を確保した。4月からは自立支援センター周辺のアパートで、単身用の40部屋を借り上げる予定だ。

 しかし、名古屋市と東京都以外では施設の拡充は進んでいない。「既存の施設で対応」(川崎市)や「生活保護で敷金・礼金分も支給」(横浜市)という状況で、北九州市は「既存施設の入所期間を短縮する」という対応だ。